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マーケティング人材の不足はどう解消する!?
短・中・長期で実施すべき施策をそれぞれ解説

マーケティング人材の市場的な不足や、マーケティングスキルの高度化などいくつかの要因により、優秀なマーケターの採用に難航している企業は非常に多いです。そうした状況では「採用」以外の選択肢も視野に入れて、マーケティング施策をどう実施していくのかを考えなければいけません。

そこで本記事では、マーケティング人材が不足している背景をはじめ、なぜ昨今マーケティングが重要視されているのかを解説した上で、短期、中期、長期の3つの視点から、人材を確保するための対策について詳しく述べていきます。

●目次

企業のマーケティング人材不足はこれからも続く

マーケティング人材の不足は、多くの企業が直面する深刻な課題となっています。以下は、2021年に実施された「デジタルマーケティングに関する課題」の調査で、各企業の回答をまとめた結果です。

残念なことに、2024年現在でもマーケティング人材の不足傾向は変わらず続いており、今後ますますその傾向が強まることが予想されます。

マーケティング人材の確保が重要な理由

マーケティング人材を確保することは、企業の存続と成長を左右する極めて重要な課題です。その2つの理由について、それぞれ解説していきましょう。


・新規顧客獲得が、年々難しくなっている

日本の労働人口は少子高齢化により減少傾向にあり、内閣府が発行する「令和4年版高齢社会白書」によれば、2050年には生産年齢人口が2021年比で約30%減少すると見込まれています。

人材不足が進み、市場規模も縮小する中で、新規顧客の獲得競争は一層激しくなることが予測されます。加えて、消費者の購買モデルも時代とともにつねに変化しています。

変化する市場と顧客ニーズに対応するために必要なのが、優れたマーケティング力です。既存顧客との信頼関係を維持しつつ、新規顧客の獲得に向けて適切な戦略を立案できるマーケティング人材の役割は、今後ますます重要になってきます。


・デジタルをはじめ、マーケティングの領域が広がっている

デジタル・オンライン技術の進歩と普及に伴い、マーケティングの領域は、従来の広告・プロモーションに留まらず広がり続けています。いくつか、デジタルマーケティングがカバーする領域を例示してみましょう。

    - SNSの運用

    - 自社サイト運用

    - オウンドメディア運用

    - データ分析

    - Web広告

    - SEO施策

顧客接点がデジタルシフトし、取得できる情報が増えたことで、データ分析に基づく訴求力の高いマーケティングが可能になりました。また、ユーザー体験の最適化など、プロダクトとマーケティングの連携も、その重要さを増しています。

こうした状況で適切なマーケティング施策が打てなければ、顧客接点の機会損失となり、ビジネスチャンスを逃すリスクとなります。マーケティング人材の確保は、企業成長率を左右する大きな課題の一つなのです。

マーケティング人材が採用できない・育たない理由

マーケティング人材の確保・育成が難しい背景には以下、3つの理由が考えられます。


・必要なスキルの定義・人材の見極めが難しい

先ほど述べたマーケティング領域の広がりに伴い、マーケターに求められるスキルが高度化しています。そうした状況から、採用側である企業が必要なマーケティングスキルを明確に定義できず、採用や育成に苦戦しているという状況があります。

デジタルマーケティングに関するスキルを一人ですべてまかなえる人材は、市場的に考えても非常に希少です。かといって、それぞれ個別に専門性の高い人材を集めたとしても、全体のマーケティング施策がうまく機能するわけではありません。

それが、採用控えやミスマッチを引き起こす要因の一つになっているのです。


・新しい手法が生まれやすく、育成体制の確立が難しい

日進月歩といわれるマーケティング業界では、マーケターは常に最新の手法や知識に精通している必要があります。社内で時間と予算をかけて育成したとしても、まるでイタチごっこのように、その間にまた新たなノウハウが登場してしまうのです。

こうした環境で、マーケティング人材の育成体制を確立することは難しく、実現できている企業は一握りになっています。一から構築する場合には、想定以上に時間や予算がかかることを覚悟しておかなければいけません。


・優秀な人材が市場に出てきづらい

稀少ではあるものの、市場には優秀なマーケターもいます。しかし、そうしたスキルを持つマーケターの多くは、本業だけでなく副業でも活躍している、独立している、引き抜かれるなどの理由から転職を考える必要がなく、転職市場に姿を表す機会が少なくなっています。

一方で、マーケター不足の影響により、一人あたりの負荷が大きくなりやすいことから、企業に所属していながら不満を抱えるマーケターも少なからずいます。採用機会を増やすために、転職潜在層にも積極的にアプローチしてみるなど、柔軟に人材確保の可能性を検討することが重要です。

短・中・長期の3つの手法から考える

マーケティングの人材不足を解決策を講じる上で重要なのが、一つの施策のみに終始しないということです。短期的な施策のみを実施しても根本にある問題を解決することはできませんし、長期的な施策だけでは成果が出るまでに時間がかかります。

ここからは、短〜長期にかけて3段階で取るべき施策について簡単に説明し、次章でそれぞれの施策をより具体的に解説していきます。


・短期:業務委託/外注の活用

マーケティング施策において、短期的な目標達成のために有用なのが、業務委託や外注の活用です。社内に実績やノウハウがなくても、必要なスキルを持った人材を社外で確保し、一時的な人材不足を解消することができます。

委託先は、マーケティング会社から広告代理店、コンサルティング会社、制作会社、フリーランスやまでさまざまな選択肢があります。それぞれ性質や特徴が異なるので、委託したい業務内容や規模に合わせてどんなパートナーを選ぶか判断しましょう。

・中期:採用

中期的な施策として取り組むべきなのが、マーケティング人材の採用です。ただし、「優秀なマーケティング人材を採用したい」などの曖昧な要件ではなく、さらに具体的な人材要件を定義しなければ採用は難しいと考えましょう。

社内にマーケターの数がまだ少ない場合は、「個別の領域に対する専門性」ではなく、「デジタルマーケティングに関する浅く広い知識」を優先しましょう。

社内には、全体を俯瞰してマーケティング施策全体をディレクションできる存在が有用だからです。不足する専門性は、外部リソースを活用することで、打てるマーケティング施策の幅が広がります。

・長期:社内育成・リスキリング

社内で優秀なマーケティング人材を育成する体制が整えられれば、持続的に事業成長や競争力を後押ししてくれるでしょう。もし、教育できる人材が社内にいる場合は、未経験者のリスキリングも含めて視野に入れることができます。

そこで重要となるのが教育体制の構築ですが、まずはマーケティング人材の育成で多くの企業が抱えがちな課題を押さえておきましょう。

マーケティングの社内育成が抱える課題

    - 教育できるレベルの人材がいない

    - 教える側/教わる側双方のリソース不足

    - 業務が属人化している

これらの課題を踏まえた上で、育成のステップとしては、①育成環境を整える、②トレーニングを行う、③実践経験を踏ませる、という3段階で実施していきます。

多くのフレームワークや戦略的思考を使うマーケティング業務では、実践経験による学びが非常に大きいです。トレーニングで学んだことを実践する機会があり、PDCAをなるべく多く回すことが、優秀なマーケティング人材を育成する鍵となるでしょう。


・まずは必要なスキルの見極めが重要

ここまで短〜長期的な施策を挙げてきましたが、企業ごとに課題や状況は異なり、「どんなマーケティングスキルが必要なのか」もまた違います。

外部リソースの調達方法を考える前に、もう一度、「社内に足りないマーケティングスキルは何か」を言語化しておきましょう。ジョブディスクリプションを作成するなどで具体的な要件をまとめておくのもおすすめです。

何が必要なのかがわかっていないと、外注先の選択ミス、採用のミスマッチ、育成体制の無用なコスト増など、どの施策でもリスクが高まります。

外部リソースを最大限活用するためのポイント

採用や育成には時間がかかるため、短期的な目標達成のためには外部リソースのプロのマーケティング人材を活用します。ここでは、外注先の成果を最大化するために気をつけたいポイントを3つ、解説します。

ただし長期的なことを見据え、採用・育成も同時に進め、最終的には、内製でリード獲得できるようにすることを前提に考えましょう。


・実績を確認する

外注先を選択する際、その会社や個人がどの領域に強いのかを確認すると同時に、その領域でどんな運用実績があるのかを確認することも非常に重要です。同じ費用でも外注先によって得られる成果には必ず違いがあります。

多くの広告代理店やWebマーケティングの会社などは、実績をホームページで公開していますが、過去のクライアントとの契約条件により公開できない実績を持っている場合もあります。相談時などに、直接確認してみましょう。また、実際にその外注先を利用したことがある会社に聞いてみるのも参考になります。


・目的と業務範囲を明確化する

まずは外部リソースを活用する目的を明確にしましょう。それは裏を返せば、自社にあるマーケティング施策における“課題”を明確にすることでもあります。

たとえば、戦略はある程度決まっているのに実行するリソースがないのか、戦略に関する提案も受けながら実施する施策を決めていきたいのか、それによっても選択すべき外注先は変わってきます。

目的が定まれば、外注先に依頼する業務範囲や、期待する役割や成果もしぜんと明確になってきます。

いずれマーケティング業務の内製化を目指しているなら、なるべくノウハウを提供してもらえるような依頼の仕方を意識したり、関係性を築いたりしていくとよいでしょう。


・綿密なコミュニケーションを心がける

マーケティングにおいては、顧客のことをどれだけ理解しているかが成果に大きく影響します。受注側は、マーケティングに関する専門知識はあるかもしれませんが、自社プロダクトの顧客については深く理解していません。そこで、顧客理解を促すような情報共有が必要なのです。

また長期的な信頼関係を築くことは、スムーズなノウハウ共有にも繋がります。二人三脚で協業するパートナーとして、密なコミュニケーションを心がけましょう。

マーケティング人材を確保するための採用戦略

マーケターの採用は中期的に重要な施策となりますが、短期施策の外注と、長期施策の育成も見越した上で、採用について考える必要があります。全体として意識したいのは、「外注先をハンドリングできるスキル」と「将来的に育成を担えるかどうか」です。

それを踏まえた上で、採用を成功させるために注意したいポイントを3つ解説します。


求める人材像を明確に定義する

採用活動に移る前の準備段階として、まず自社にはどんなマーケターが必要なのかを明確にしておきましょう。その際には、以下の点を定義しておくとよいでしょう。

    - マーケティング施策における課題

    - 求める役割

    - 必要なスキルセット(歓迎するスキルセット)

    - 待遇・勤務条件

ただし、完璧を求めすぎると、人材が見つからなかったりミスマッチを引き起こしたりする可能性も上がります。なかなか採用がうまくいかない場合は適宜、要件を見直して絶対条件以外のボーダーラインを柔軟に調整していくとよいでしょう。


採用チャネルを広く考える

近年では、さまざま分野や人材に特化した採用サービスが登場し、SNSでのダイレクトリクルーティングやリファラル採用、スカウト特化のサービスなど、採用チャネルも多様化しています。

その中で重要なのが、「出会いたい人材がどこにいるのか」を考えていくことです。

例えば、デジタルマーケティングの知識を広く持つ優秀なマーケターの中には、「企業に所属するよりも独立したほうが収入は増える」と考えている人もいることでしょう。そういう人材をスカウトしたいと思ったときに、転職エージェントを活用することは果たして効果的だといえるでしょうか。

人材像が明確にできているならば、その人材がどこにいるのかを想像して、接点がつくれそうなチャネルでの発信や募集を心がけましょう。


給与・待遇を見直す

人材不足などの理由から、マーケティング人材の給与相場は上がりつつあります。そんな中で「マーケターに求めるものは多いが、それに見合う給与が出せない」という企業は意外に多く、マーケター採用が難しいといわれる一つの要因にもなっています。

そこで考えなければいけないのは、自社に所属することで人材側が感じる価値です。単純に給与額だけでなく、人間関係や福利厚生、学習環境、働き方、研修制度などの待遇に対して価値を感じる人材も少なくありません。人材が企業にもたらすメリットばかりではなく、自社が人材にもたらすメリットも、同時に考えて採用活動にのぞみましょう。

社内マーケター育成・リスキリングの成功ポイント

マーケターの社内育成・リスキリングでは、トレーニングと実践経験の両方からアプローチする形での育成がおすすめです。経済産業省ではDXが進む現在において「技術革新やビジネスモデルの変革に対応するために、新たな知識やスキルを習得する」リスキリングが重要だと示唆しています。

しかし、両方を社内でまかなおうとすると教える側のリソースが不足したり、教育プログラムの準備に工数や時間が取られたりする可能性があります。

もちろん、社内で教育プログラムを整えることにも大きなメリットがありますが、それには工数と時間がかかります。現状、マーケター人材が不足している状況であれば、外部の研修サービスなどでトレーニングしながら、業務を通じて実践経験を積んでいくとよいでしょう。


研修サービスを利用し、トレーニングを積む

マーケティングにおける基礎的な概念や、フレームワークを体系的に学ぶ場合、社外の研修サービスなどを活用するのがおすすめです。コンサルティング会社や大学などが行うオフラインのセミナーをはじめ、最近ではe-ラーニングなどオンラインで完結するタイプのものもあります。

特に、社内に知見のない知識を一から学んでいくリスキリングでは、外部の知見を取り入れる意味でも研修サービスは有効です。研修サービスを選択する際は、自社のマーケティング領域に近いものが学べるものを選択し、学習と実践を繰り返し行えるようなものを選びましょう。


OJTを中心とした実践の場の提供

マーケティング施策では、実施と分析、振り返りを日常的に行います。試行錯誤の結果、どのような成果が得られたのか、その業務の一連の流れを繰り返し経験することでマーケティングスキルは磨かれていきます。

とくにマーケター人材が少ないうちは、一つの分野の知識を専門的に蓄えさせるのではなく、幅広い知識が身につけられるようにチーム内でのジョブローテーションなどを行い、さまざまな実務領域を経験できるようにしましょう。


中核人材によるナレッジ共有の体制

社外研修、OJTによる実践経験に加えて、勉強会など定期的なナレッジ共有の機会を設けることも、人材育成には効果的です。先述のとおり、マーケティングの世界は日々、新しい技術や手法が登場しています。

時代の変化に柔軟に対応するためには、社内のマーケターチームが知識やノウハウを絶えずアップデートする文化が根付くことが重要です。加えて、社員自身が参加したいと感じたセミナーの受講や、教材の導入など、社員が能動的にスキルアップしていく体制づくりなども効果的です。

まとめ

本記事では、短期的な業務委託・外注、中期的な採用、長期的な社内育成という3つの視点から、マーケティングの人材不足への対策を解説してきました。

今回紹介した3つの施策をどのように組み合わせて実施すべきなのかは、企業ごと、抱えている課題によっても異なります。マーケティング人材確保をしたいと思ったとき、なにより重要なのは、その課題を明確にすることです。

課題が明確になれば、自社が求めるマーケティングスキルが明確になり、外注、採用、育成をどのバランスで実施していくかの見通しも立てやすくなります。場当たり的に実施手段ばかり考えるのではなく、まずは立ち止まって自社の状況を客観的に分析することから始めてみましょう。


〈監修・執筆者情報〉

執筆:マーケティングWeek編集部

経歴:マーケティングWeekの記事編集部です。マーケティング領域に関する展示会を主催し、300近い出展社と数万人の来場者をご支援しています。支援実績を活かしてマーケティングに関わる有益な情報を発信します。

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