LINE広告とは?入札の仕組みや配信面の種類、費用をまとめて見やすく解説
SNS広告の中でも、近年注目を集めているのがLINE広告です。日本の人口の約8割が利用する国内最大級のコミュニケーションアプリでありながら幅広いユーザーへとリーチできる強大な広告配信プラットフォームという側面も持ちます。
本記事では、これからLINE広告の出稿を検討する企業のご担当者向けに、LINE広告の仕組みや特徴から配信の際の注意点、配信面の種類、ターゲティングの機能まで、要点を押さえてLINE広告の概要をわかりやすく解説していきます。
●目次
認知・集客・顧客獲得が見込める「LINE広告」
LINE広告とは、コミュニケーションアプリ「LINE」に配信される広告のこと。「LINE」の国内の月間アクティブユーザー(MAU)は9,700万人以上(2024年3月末時点)、といわれ、非常に高いユーザーカバー率を誇るのが最大の特徴です。
それを踏まえて、LINE広告ならではの強みには以下のようなものが挙げられます。
・ほかのSNS広告にはないリーチ力
LINEの圧倒的な強みは「LINEを日常利用するユーザーの数」です。日常的にスマホでSNSを利用しているユーザーのうち、LINEを利用するユーザーはおよそ82.8%ですが「LINEのみ利用する」と答えたユーザーが41.2%もいました。このことから、SNS広告の中でも「LINE広告でしかリーチできない」ユーザーも相当数いることが伺えます。
・年代、属性も幅広いユーザー層に届く
以下は、LINEユーザーの属性ごとの分布を示す円グラフです。
どの年代にもユーザーが分布し、ビジネスマンから主婦層、学生など幅広い属性のユーザーがいることがわかります。また別の調査ではLINEを「毎日利用する」と回答したユーザーはすべての年代で60%以上、特に女性では年代を問わず70%以上が「毎日利用する」と回答しました。
・ターゲティングの種類が豊富
LINEは日々ユーザーデータを蓄積し、膨大なデータからユーザー行動を分析しています。(性別、年代、エリア情報をはじめコンテンツの閲覧傾向、広告接触をもとにした「みなし属性」や実購買の発生場所などを個人を特定しない形で参考)
そのユーザー行動にもとづき広告が配信されるため、広告主は「年齢」「性別」「地域」「趣味・関心」など幅広い項目から詳細な絞り込みを設定でき、配信対象と掛け合わせることで、より購入につながりやすいターゲットに広告を届けることができます。
・多様な配信面と、目的に応じた最適な機能
配信面とは広告が配信される枠のこと。ホーム画面やトークリストに加え、ニュースやマンガ、またコミュニケーションアプリとは別に展開するゲームやカメラなどの“ファミリーアプリ”と呼ばれるサービスなど、2024年7月時点でLINEのおもな配信面は17種類にものぼります※。
また、配信機能も複数あり、目的やターゲットに応じて最適な広告配信を選ぶことができます。
※公式サイト「LINE広告 配信面」の「主な配信面」の掲載数をもとに算出(https://www.lycbiz.com/jp/service/line-ads/media/)
LINE広告が掲載される仕組み
LINE広告は運用型広告の一つであり、広告枠をオークション形式で販売しています。
広告主は、その広告掲載に対する入札金額を決め、その中で最も高い金額を提示した広告主の広告が掲載される仕組みです。
入札金額を決めるには「自動入札」と「手動入札」の二つの方法があります。
自動入札では、あらかじめ設定した入札単価や予算に応じて成果を上げるように入札額が自動調整されます。機械学習による最適化が行われるため、一定のコンバージョンを獲得するまでの学習期間が必要となります。
また、LINE広告の一部の配信ではCTR(クリック率)レベルという指標があり、競合する広告と比較してCTRが高いと予想される広告のほうが表示されやすいという傾向があります。
手動入札では、クリック単価(CPC)か、1,000インプレッションあたりの単価(CPM)、友だち追加ごとの単価(友だち追加広告に限る)などで入札設定を行います。
LINE広告の配信で、注意すべきポイント
では実際に、LINE広告に出稿する際にはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。ここでは押さえておきたいポイントを注意点として3つ、解説します。
・配信面
以前は、配信面が指定できずランダムで配信されていた配信面ですが、2024年3月のアップデートにより、広告主が配信面を選択できるようになりました(プレースメント選択機能)。そのため、配信面を選択する際には、自社の広告効果が出やすい配信面を狙うとよいでしょう。
特に、アクティブユーザーが多い配信面としては、以下の2箇所が挙げられます。
・トークリスト
・LINE NEWS
ただし、それだけ競合も多くなり単価が上がりやすいとも考えられるので、自社に適した配信面の傾向を探りながら慎重に選ぶ必要があります。
・基本の設定を頻繁に見直す
LINE広告の出稿は「キャンペーン」という単位で行い、以下の3ステップで始めます。
- キャンペーンの作成
- 広告グループの作成
- 広告の作成
キャンペーンの作成画面では、キャンペーンの目的やターゲットなどを決めていきます。設定次第では、見込み顧客ではない層にリーチしてしまうなど効率の悪い配信になる可能性もあります。
基本設定については頻繁に見直したり、あえて設定を変えてみて効果検証をするなど、最初に設定したままで放置しないようにしましょう。
・多彩な配信フォーマットに適したクリエイティブを制作する
LINE広告では、配信面を選んで広告を配信する場合、そのフォーマットに適したクリエイティブとテキストを入稿する必要があります。フォーマットは静止画と動画の大きく2種類に分けられます。配信面ごとのフォーマットは後述の「LINE広告の配信フォーマット」に記載しています。
また、LINEが推奨する「自動配置」に設定することで、配信面は指定せずに入稿したクリエイティブのフォーマットに対応する配信面に、自動で広告を配信することもできます。
LINE広告のおもな配信面
さて、ここからは実際にどんな配信面があるのか。配信面の種類とそれぞれの特徴を見ていきましょう。
・LINE広告の配信面とLINE広告ネットワーク
まず、押さえておきたいのが「LINE広告ネットワーク」という言葉です。LINE広告の配信面は「LINE広告の配信面」と「LINE広告ネットワークの配信面」という2種類に分けられます。
LINE広告の配信面
トークリストをはじめ、マンガ、クーポン、ウォレット、ファミリーアプリなど、コミュニケーションアプリを中心に展開されているLINEのサービスでの配信面。
LINE広告ネットワークの配信面
「ウェザーニュース」「クックパッド」「クラシル」など、LINEが提携する事業者が提供するサードパーティアプリも含めたアドネットワークでの配信面です。LINEが直接審査し、掲載面としての品質が認められた、11,000を超える提携サービスのアプリにリーチできます。
・LINE広告の配信面一覧と解説
さて、では実際にLINE広告の配信面を一覧で見てみましょう。
・特に押さえておきたい配信面
配信面ごとの特徴を押さえ、自社の広告に適した配信面を選ぶことがLINE広告の成果を最大化させるための鍵です。特にここでは、重要度の高い4種類の主要な配信面について解説します。
ホーム画面
LINEアプリを起動し、画面下部の「ホーム」タブを選択したときに表示される画面の、下部に配信されます。多くのユーザーが表示する画面なので認知を広げたいときにおすすめです。
トークリスト
「トーク」タブを選択したときに表示される画面の最上部に載る配信面です。こちらも、ほとんどのユーザーが閲覧する画面なので認知を広げたいときにおすすめです。
ただし、表示面積は小さいため、文字量、画像をコンパクトにしていかに印象づけるかがクリエイティブ制作のポイントとなります。
LINE NEWS
LINE NEWSは、MAU(月間アクティブユーザー数)も7,700万人以上を誇るニュースメディアです。「ニュース」タブを選択したときに表示されるニュース記事一覧ページをはじめ、430媒体以上のアカウントメディア内でも広告が配信されます。
ニュース記事を読みに来るユーザーは、記事を読む時間をとって訪問する、比較的時間のゆとりがあるユーザーです。そのため、しっかりと読んで内容を理解してもらうコンテンツの入口として興味を惹き、続きが読みたくなるクリエイティブを用意するのがポイントです。
LINE VOOM
LINEアプリ内にある、ショート動画を中心とした動画プラットフォームがLINE VOOMです。配信面は、「VOOM」タブを選択すると見られる、ショート動画の合間に差し込まれます。画像を大きく使った訴求ができ、外部送客やアプリDL促進などを目的に活用できます。
エンターテインメント性が強い投稿が多いので、LINE VOOMを閲覧するユーザーを意識し、メディアと親和性の高いクリエイティブを制作することを心がけましょう。
LINE広告にかかる費用のイメージ
LINE広告は、最低出稿金額が設定されておらず低予算でも始められます。ですが、広告の配信枠はオークション形式で販売されるため、あまりに予算が低いと広告がなかなか表示されなかったり、十分に効果が出るリーチ数が担保されない可能性があります。
広告の目的、商材、予算に応じて変動はするもののLINE社のメディアでは、例えば「認知拡大やWebサイトへの集客が目的の場合、月30万円での出稿を3ヶ月以上、『友だち追加』の場合、月10万円での出稿を3ヶ月以上続けることで配信効果が安定して得られる傾向にあります」と記載されています。
また予算だけでなく、ターゲットや入札額の設定などによっても成果は変動します。運用開始後すぐに効果が最大化するわけではないので、効果を検証しながら運用方法を探る必要があります。
LINE広告の配信フォーマット
ここでは「静止画」「動画」それぞれを配信するときのフォーマットをご紹介します。
・静止画
※LINE VOOMの場合
・動画
※LINE VOOMの場合
引用:『LINE キャンパス - クリエイティブフォーマットと配信面』、『LINE Business Guide 2024年4月~2024年9月』
LINE広告のキャンペーン目的の種類
LINE広告を配信する際は、設定画面から目的や予算に応じて「キャンペーン」を作成していくことになります。その際に重要なのが「キャンペーンの目的」の設定です。目的を設定することで、その達成に向けた広告配信が行われるので「何を達成したいのか」が間違っていると思った成果が得られないことがあります。
設定画面で選択できる「キャンペーンの目的」は、以下の8種類があります。
LINE広告のターゲティング・配信機能
キャンペーンの目的とともに、配信設定で重要なのが詳細な「ターゲティング設定」です。ここではLINE広告でターゲティングに使われる3つの配信機能と、それぞれの特徴について解説します。
・オーディエンスセグメント
オーディエンスセグメント配信とは「年齢」「性別」「地域」「趣味・関心」「行動」「属性」「購買意向」などの項目において、それぞれターゲットを指定してアクションを起こしやすいユーザーに広告を配信する機能です。
「地域」項目では特定のエリアを除外することも可能。また「趣味・関心」「行動」「属性」「購買意向」に関しては、詳細ターゲティングとして細かいセグメントを複数かけ合わせて指定・除外して配信することができます。
・オーディエンス配信
オーディエンス配信とは、特定のサイトへ訪問したことがあるユーザーや初回購入したユーザー、アプリ内での行動などをもとに、対象となるユーザーに広告を配信する機能です。
データを利用して「オーディエンス」というユーザーグループを作成し、配信します。既存顧客や購買実績のあるユーザーに配信することでコンバージョンの増加が期待できます。
電話番号やメールアドレスなど、自社が収集したユーザーデータを元にオーディエンスを作成することも可能です。
・類似配信
類似配信とは、別途作成した「オーディエンス」と類似するユーザーをLINEユーザーの中から検出して広告を配信できる機能です。
例えば、自社Webサイト内でコンバージョンしたユーザーのデータを集め、オーディエンスを作成します。そのオーディエンスと行動が類似するユーザーを配信対象にすることで、確度の高い配信を行います。
設定の際には、類似するユーザーの数を表す「オーディエンスサイズ」を1〜15%で指定する必要があります。パーセントが低いほど類似度が高いユーザーに配信できますがリーチできる人数は少なくなり、逆にパーセントが高いほどリーチする人数は増えますがユーザーの類似度は低くなります。
まとめ
本記事では、LINE広告への出稿を検討している方に向け、その特徴をはじめ、配信の仕組みや注意点、配信面や配信機能など、LINE広告の概要を解説してきました。
多くのユーザーが毎日のように利用しているアプリだけあって、うまく広告配信に活用できれば、良い成果が期待できます。特に多様な配信面と幅広いターゲティングを掛け合わせると、ほかの広告では追いきれなかったユーザーに対して訴求することもできるでしょう。
そのためにまず大事なのは「何の目的で、どのようなターゲットに広告を届けるのか」を明確にすることです。過去に広告運用で得たデータや自社が持つ顧客情報などとの掛け合わせも視野に入れつつ、どう活用すればLINE広告の効果を最大化できるのかを検討しましょう。
〈監修・執筆者情報〉
執筆:
鷲尾 海輝(Hakuhodo DY ONE)
経歴:
2021年に株式会社アイレップ(現 株式会社Hakuhodo DY ONE)へ入社し、入社時からメディア担当としてLINEヤフー社と向き合い続けている。LINE広告・公式アカウントを中心にLINEヤフープロダクトの知見を豊富に保有しており、社内外への情報発信・より専門的なLINEヤフーの提案支援に従事。過去には、LINE公式アカウント運用経験もあり。
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