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協賛・スポンサー広告やパートナーシップとは?種類やメリットと成功のコツをご紹介

企業や団体がイベントやプロジェクト、アスリートやアーティストなどに資金や物資を提供し、見返りとして宣伝の機会を得る広告活動を協賛・スポンサー広告といいます。

協賛・スポンサー側にとっては特定のイベントやコミュニティにリーチできるため、ターゲット層との接点になりつつ、地域貢献や社会的責任を果たすことにもつながります。また協賛を集める側にとっては、イベントやプロジェクトを実施するための資金やリソースを集める、非常に重要な広告となります。

この記事では、協賛広告の種類や具体的なメリット、最大限に活用するための基礎知識から実践的なノウハウまで、詳細に解説していきます。

●目次

協賛・スポンサー、パートナーシップとは?

協賛とは、あるイベントやプロジェクトに対して資金や物資を提供することで、スポンサーとは協賛する側の企業や団体のことです。協賛してスポンサーになることで、イベントやプロジェクトを通じて宣伝ができます。協賛には、認知拡大、地域・社会貢献、ブランドイメージの向上などのメリットがあるのです。また、近年では「パートナーシップ」という、より能動的にスポンサー企業がプロジェクトに取り組むような関係もあります。

主催者にとって協賛・スポンサー広告は必要な資金を調達する手段であり、イベントやプロジェクトのスムーズな実施にはかかせません。協賛・スポンサー広告は、主催者と企業の両方にメリットがある、「Win-Win」な戦略といえるでしょう。


・協賛やスポンサー、主催、共催の違い

協賛・スポンサーの周辺には「主催」「共催」「協力」「後援」など、さまざまな似た言葉があります。それぞれの言葉が指す役割について、以下の表にまとめました。

 項目

 意味

 主催

 そのイベントやプロジェクトを企画し、中心となって運営、実施の主体となる団体

 共催

 複数の団体が共同でイベントやプロジェクトを開催すること。また、そのうちの一団体を指す

 協賛

 イベントやプロジェクトの趣旨に賛同し、金銭、または物品での支援を行う

 スポンサー

 協賛とほぼ同義だが、おもにスポンサーは金銭的な支援を行った場合に使われるケースが多い

 協力

 イベントやプロジェクトの趣旨に賛同し、人的支援や技術提供などを行う

 後援

 イベントやプロジェクトの趣旨に賛同し、名義使用を承認する。金銭、物品などの支援は行わない

 パートナーシップ

 主催者とスポンサーが共創するビジネスパートナーとなり、ステークホルダーへの様々な働きかけとともに、企業・競技団体の新しい価値・成長につなげる

協賛・スポンサー、パートナーシップの種類

例えば、スポーツスタジアムに設置された清涼飲料水やアルコール飲料の看板など、「協賛・スポンサー」というと一般的に宣伝広告を思い浮かべる方が多いかもしれません。ですが、じつは宣伝広告以外でも主催者と企業の双方にメリットのある協業形態があります。

ここでは、協賛・スポンサー、パートナーシップなどの種類について解説します。


金銭協賛・広告協賛

金銭協賛・広告協賛は、現金を支援するタイプの協賛です。金銭協賛のリターンはイベントやプロジェクトによりさまざまなリターンが設定されており、広告協賛はWebサイトやパンフレット、スタジアムの看板、商品ロゴなど、主催側が用意した広告枠への出稿がおもなリターンです。

このタイプの協賛は企業にとって、ブランド認知度の向上や新規顧客の獲得を狙う絶好の機会です。 例えば、スポーツイベントでの広告協賛では、企業ロゴをユニフォームや競技場の看板に掲載することで、観客やテレビ放送を通じて広く視聴者にリーチできます。イベントの公式ウェブサイトやSNSでのプロモーションにも繋がるため、デジタルマーケティング施策との連携も期待できます。

また、金銭・広告協賛を行うことで、地域社会との結び付きが強まり、CSR活動の一環としても評価されることが多いです。特に、地域イベントでは地域社会と密接に関わることができ、企業は地域社会への貢献をアピールしつつ、ターゲットである地域の住民にブランドのポジティブなイメージを構築できます。


物品協賛

物品協賛は、商品や備品などの現物を支給するタイプの協賛で、特にイベント運営など、道具や消耗品が多く必要となる場合に採られることが多い手法です。例えば、スポーツイベントにおける飲料メーカーの飲料提供、学校の催事における文具メーカーの文房具提供などが挙げられます。

物品協賛では、協賛側企業が指定された物品を提供するケースと、協賛側企業が物品を選んで提供するケースの2つがあります。物品を指定される場合は、おもにイベントやプロジェクトの実施に必要な物品を指定されることが多く、逆に企業側が物品を選ぶ場合は、おもに商品・景品、配布物などとして使用されることが多くなっています。

物品協賛のメリットの一つは、金銭協賛よりもコストが低いこと。また自社製品を提供することで、ターゲット層に試用してもらう機会が生まれ、認知拡大やブランドイメージの向上にも繋がります。


役務協賛

役務協賛は、資金や物品ではなく、人的リソースを提供するタイプの協賛で、特にボランティア活動や地域イベントなどで採用されやすい手法です。

役務協賛のメリットの一つは、コストを抑えつつ高い支援効果を発揮すること。従業員を通じて、企業は地域社会との絆を深めることができ、従業員のモチベーション向上やスキルアップにも寄与します。労力の提供先によっては、製品のターゲット層との接点となり、顧客関係強化にも役立ちます。


パートナーシップ

スポーツ領域などでは、「共創」を軸とした「パートナーシップ」という関係のあり方も注目されています。スポーツ・パートナーシップでは、広告や物資を提供するだけではなく、イベントの趣旨やパーパスに賛同した企業とビジネス的な協力関係を作り、ともに新しい価値を生み出すことを目指します。

スポンサーがイベントやプロジェクトの内容にまで踏み込んで、地域の人々や企業、サポーターといった様々なステークホルダーと交流しながら、社会課題の解決などに取り組むことで、企業の経済価値・社会価値の向上が期待できます。

 

参考:第2期スポーツ未来開拓会議 第2回 「みる」スポーツ分科会 齊藤委員説明資料

参考:小田急電鉄株式会社 スポーツ共創戦略「OSEC100」を始動します!

企業が協賛・スポンサー広告を出すメリット

企業が協賛広告を出したり、パートナーシップを結んだりするメリットとしては、おもに以下のようなものが挙げられます。

-    ブランド認知度の向上
-    新規顧客の獲得
-    社会貢献としての評価


それぞれのメリットについて解説します。


ブランド認知度の向上  

協賛するイベントや人物を通じて、企業名や製品のロゴなどが消費者に認知される機会が増えます。特に、ターゲット層が集まるイベントでは、潜在購買層である消費者に直接アプローチできるため、協賛は効果的です。

例えば、スポーツイベントに協賛することで、スポーツファンに対して企業の認知度を向上させることができます。実際に、多くの大企業がスポーツイベントを活用し、自社ブランドのイメージを強化、消費者の記憶への定着を図っています。

オンラインでの協賛広告も効果的です。ソーシャルメディアやWebサイトへ協賛することで、Webページやメルマガなどさまざまな枠にロゴなどを配信でき、ユーザーに広くブランドを認知させることができます。


新規顧客の獲得

ターゲット層が多く集まるイベントやプロジェクトへの協賛は、新規顧客獲得の面でもメリットがあります。例えば、特定の地域でのイベントに協賛することで、これまでアプローチしていなかったエリアのユーザーとの接点が生まれます。

資金協賛・広告協賛では看板やロゴ、広告などのメディアを通じて、物品協賛では製品や試供品、備品などを通じて、役務協賛ではおもに人を通じてアプローチできるので、自社の広告戦略にしたがって手法や協賛先を練るとよいでしょう。


社会貢献としての評価

イベントやプロジェクトの中には、地域社会や特定のコミュニティへの貢献、社会的に意義のある取り組みをするものもあります。例えば環境問題や特定の地域が抱える課題に対してアプローチするプロジェクトがある場合、そこに協賛して自社の姿勢を示せば、地域社会や消費者からの評価にも繋がります。

とくに近年では、SDGsについて消費者も強く関心を抱いているため、SDGsに取り組む企業は好感を持たれやすくなります。ほかにも、子供のスポーツイベントへの協賛は地域の子供の育成に、医療・健康イベントへの協賛は健康社会の実現に、環境保護活動への支援は生物多様性の保全や持続可能性についてそれぞれ寄与し、それらに興味・関心を持つ消費者層の評価が得られるかもしれません。

協賛・スポンサー広告は単なる広告宣伝の手段にとどまらず、企業が社会的責任(CSR)を果たしながらブランド価値を高めるための有効な方法だといえます。地元コミュニティや社会への貢献は、消費者との長期的な信頼関係を築き上げる重要な手段なのです。

協賛広告を成功させるためのポイント

協賛広告を成功させるために、ここでは主催側、つまり協賛・スポンサーを集める側と、協賛・スポンサー側、つまり何かしらを提供する企業側の2つの観点から、成功のポイントを考えてみましょう。


スポンサーを募集する側の成功のポイント

イベントであれプロジェクトであれ、主催側にとっては「消費者と協賛企業のタッチポイントをいかに作るか」を考えることは重要です。協賛側に一定のメリットが出せるように、集客のプランニングは念入りに準備を進めましょう。

その上で主催側の協賛・スポンサー獲得成功のポイントとしては、次の2つを意識するようにしましょう。

1. 効果的な協賛メニューを作る

一番の理想は、「来場者に嬉しい」「協賛企業に嬉しい」「主催側が嬉しい」という三方よしの状態です。そうした協賛メニューを作るためにも、まずは集客するターゲット層のニーズを理解することがなによりも重要です。

その上で、イベントの特性や目的に応じて、協賛のパッケージは複数用意するようにします。協賛企業ごとにイベントにかける予算感は異なるので、資金協賛の場合は少額から高額まで、リターンを考えてメニューを設計しましょう。

イベントやプロジェクトの終了時には、協賛企業からのフィードバックをもらい、継続的な改善にも注力することで、有益な協賛メニューを作り上げることができます。

2. 幅広く適切な手法で協賛を依頼する

協賛・スポンサー企業を集めるためには、幅広くアプローチしなければいけません。その際、依頼する企業と自社との関係値に応じて、適切なアプローチをすることで、成約の確度を高めていくことが重要です。

まずはおおまかに「過去に自社への協賛実績がある企業」「過去、協賛の依頼をしたことがある企業」「今回初めて協賛を依頼する企業」の3タイプに分類し、それぞれアプローチする際の手段や文面の違いをイメージしましょう。アプローチの手段としては、電話やメール、郵送でのダイレクトメール、またはWebサイトでのフォーム受付などがあり、それぞれどの手段でのアプローチが適切なのかを検討していきます。

過去の成約率なども加味した上で、事前に必要となる企業数をリストアップしておきましょう。

今まで協賛事例がなく、どこから開拓すればよいかわからない場合は、マーケティング関連の展示会へ出展するなど、企業の広報・マーケティング担当が数多く集まる場所で募集を呼び掛けるのもひとつの手です。


協賛企業側の成功のポイント

協賛・スポンサーとなる企業にとっては数ある協賛先の中から、メリットの大きい協賛先を選ぶことが成功の鍵となります。得られるリターンを可視化して比較するなど、事前にある程度、成果の見込みをつけておくことも大切です。

リターンを考える際に重要となるのが、協賛広告の目的です。事前に「どんな課題を解決するために、協賛広告を行うのか」ということを言語化しておきましょう。目的が曖昧だと、振り返りや成果指標の設定も漫然としてしまい、予算の無駄が出やすくなります。

そのほか、協賛企業側の成功させるポイントをふたつ、ご紹介します。

1. 自社サービスとの親和性があるか

その協賛先は、自社のターゲット層にしっかりとアプローチできるでしょうか。たとえ親和性の高いジャンルだったとしても、集客される消費者の所得層や年代などが合わなければ、効果は薄いかもしれません。

逆に、一見すると別ジャンルに思えても、実は親和性が高いものもあります。例えばエナジードリンクで知られるRed Bullは、エクストリームスポーツや音楽イベントのほか、アート関連のイベントやギャラリーにも協賛しています。一見、かけ離れているようにも見えますが、「エネルギーと創造性」という人間的な深いテーマのもとクリエイティブな若者へアプローチし、Red Bullのブランドイメージ形成に役立っています。

2. 主催側とコミュニケーションをとる

主催者との積極的なコミュニケーションも、協賛広告の効果を高めるためには欠かせません。以下は、フェーズごとにおおまかに必要なコミュニケーションを分けたものです。

- 提案の段階
 イベントやプロジェクトの目標、集客する消費者層、広告露出先の確認
- 事前協議
 トラブルなどの現場対応についての確認、コンテンツ内容の詳細
- 終了後
 効果測定のフィードバック、次回に繋がる信頼関係の構築 など

例えば、協賛広告を決める前であっても、協賛側から要望・希望を出すことで、それに応じたメニューを用意してもらえることもあります。このほか、進行状況や参加者の反応をスピーディーに共有してもらうことで、協賛・スポンサーは広告効果を逐次確認できるようになります。

いずれにしても提案書・企画書では主催側の意図を完全に汲み取ることは難しいため、コミュニケーションの機会を積極的に増やし、ヒアリングを行いましょう。

協賛広告を掲載するまでのフロー

協賛広告を実施するためには、計画から実施までの一連の流れをしっかりと把握し、スムーズに進行することが大切です。提案書・企画書の作成から、効果的な協賛メニューの設定、協賛企業の募集、広告の作成・掲載まで、詳しく解説します。


1. 提案書・企画書の作成

提案書・企画書の作成にあたって重要となる、おおまかなポイントは以下の項目です。
-    主催者の概要
-    イベントの概要
-    集客する消費者層
-    協賛・スポンサーの重要性
-    協賛メニューとメリット

これらの項目について、初めて読む方が概要を理解できるようにできるだけ簡潔に客観的な視点で制作することを心がけましょう。またロゴや写真などを使って、そのイベントが目指す世界観なども同時に伝えられるようにすると、協賛側はより具体的なイメージをしやすくなります。

もちろん提案する企業ごとに資料を作り替えると、より丁寧な提案ができるようにはなりますが、送付先の間違いなど事故を避けるためにも個別の作り替えはあまり推奨しません。その場合、一律で見せる資料となるので社内での確認を入念に行い、できるかぎり魅力を感じてもらえる資料をめざしましょう。


2. 協賛メニューの考案・決定

協賛メニューを考案するにあたっては、まず集客するターゲット層のニーズを明確にした上で、消費者とのタッチポイントを洗い出します。その上で、主催側が協賛企業に提供できるメリットを、明確にしましょう。

次に、金銭協賛や物品協賛など、企業のニーズに対応できるようにさまざまな協賛メニュー案をたくさん出しておき、その中で現実的なもの、消費者と協賛の双方にメリットが大きいものへ絞り込んでいきます。その後、そのプランに支援金額による変化を付けて、価格レンジに幅を持たせるようにします。


3. 協賛企業を募集する

過去の成約実績を参考にしながら、そのイベントやプロジェクトに親和性が高い企業をリストアップしましょう。例えば、過去実績で成約率20%の場合、「20の協賛企業を集めるためには約100の企業が必要になりそうだ」という見当をつけることができます。

親和性が高いかどうかは、集客するターゲット層の属性や、共通の価値観などから判断していきます。次に、企業にアプローチするための効果的な方法を選びましょう。 電話やメール、郵送でのダイレクトメール、またはWebサイトでのフォーム受付、直接訪問など、提案先に応じて最適な手法を選択します。


4. 申し込み対応・打ち合わせ

協賛企業からの申し込みの対応は迅速かつ丁寧に行わなければいけません。対応が遅れると、協賛側からの信頼感、またイベントやプロジェクトに対する興味・関心が薄れる可能性があるので、迅速な対応を心がけましょう。

提案では、協賛企業側の期待や条件を詳しく確認し、それにどう対応できるのかが求められます。ときには提案書にない要望や希望が出ることもあり、柔軟に判断することが求められます。しかし、そうした情報から協賛先が「何を求めているのか」を把握することで、資料や提案の改善、イベントやプロジェクトの改善などにもつながります。

また、初めて提案する企業にとっては過去の成功事例は信頼を感じる大きなポイントなので、必ず紹介するようにしましょう。


5. 広告掲載・請求

広告掲載と請求のプロセスは、掲載フローの最終段階です。まず、協賛企業と広告の内容やデザインについて最終確認を行い、必要な修正を加えます。次に、事前に決めたスケジュールに沿って、広告を掲載します。掲載後は協賛企業に感謝の意を伝え、その効果を報告します。

その後、事前に合意した契約内容に基づいて請求書を発行します。

まとめ

この記事では、協賛広告についてその基本的な概念から種類、効果、成功のコツまで詳しく解説してきました。

協賛・スポンサー広告は、経験やノウハウが蓄積するほど、効果を出しやすくなります。そのためには、必ず効果測定と振り返りを行い、次の施策に繋げていくことが重要です。

そして、主催側も情報発信が重要で、協賛企業の情報を積極的に発信することで、別の企業の目にも留まり、興味・関心を持ってもらうことにも繋がります。

協賛・スポンサー側の企業に「協賛してよかった」と感じてもらうためにも、消費者と協賛者のメリットをつねに意識しながら、綿密なコミュニケーションを重ねて、成功因子を増やすことを心がけましょう。


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