【脱・やりっぱなしDM】効果測定の基本からレスポンスを高める鉄則まで徹底解説

はじめに:デジタル全盛の今、なぜ「DMの効果」が見直されているのか

インターネットを使ったオンライン施策が普及する中、あえて紙のダイレクトメール(DM)を活用する企業が増えています。コストはかかるものの、読んだ側に与えるインパクトや保管性、信頼感などが評価されています。デジタル媒体に埋もれやすいメルマガやSNSと比べ、アナログの特性を活かすことで注目を集めやすい点が、現在DMが再評価される理由です。

展示会の集客やフォロー施策でもDMが活用されるケースが増え、「紙ならではのアプローチ力」が現場で再認識されています。単なるコストとして切り捨てるのではなく、DMの強みを理解し、適切に運用することで大きな効果を得ることが可能です。

●目次

数値で見るダイレクトメールの実力|開封率・行動喚起率・ROI

・開封率と行動喚起率の基礎データ

ダイレクトメール(DM)は、高い開封率と行動喚起率を期待できる手段として再評価されています。実際、DMは手元に届くことで多くの人が手に取り、少なくとも目にする機会が生まれます。総務省の調査では、DMの宛先別読了率が7割〜8割程度とされており、高い閲覧習慣が維持されていることが分かります(参照*1)。

また、企業のマーケティング実績によると、過去に取引経験がある企業から届くDMの開封率は9割近くに達し、内容を読んだ後に行動を起こす率は全体の約20%という報告もあります(参照*2)。

紙という実物を伴うことで、手に取った瞬間に「何だろう」と思わせやすい点はデジタルにはない強みです。切り取れるクーポンやポストカード、立体的なパッケージなどを用意して興味を引き、購買やイベント参加へ促すことも可能です。さらに、はがきのQRコード活用など、オンラインへの導線を用意して購買や予約ページにアクセスを流す動きも進んでいます(参照*3)。


・他チャネルとの比較による位置づけ

DMは高コストである一方、メールマガジンやSNS投稿と比べて受け取り手の注意を引きやすく、反応率も高いという利点があります。郵便によるDMは開封率が80%〜90%とされ、ROI(投資対効果)も全媒体の中で高位に位置しており、112%に達するとの報告もあります(参照*4)。

デジタル施策に対しては「嫌でも目に入りやすい」という直接介入の性格を持ち、届いた瞬間に中身を見てもらえる可能性が非常に高いといえます。

また、開封後にすぐ破棄されず保管されやすい点も大きな利点です。デジタルメディアは埋もれやすく、メールボックスを整理すると一瞬で削除されることも少なくありません。DMであればテーブルの上に置いておいたり、必要なタイミングまで保管しておいたりすることもあり、いわゆるロングテールで効果が持続する可能性があります。コストがかかる分、明確なターゲット設定やパーソナライズによる対応強化によって、高い投資回収を狙うことが求められています。


・展示会マーケティングにおけるDMの役割

近年の展示会では、事前にオンライン告知やSNSでの集客に力を入れる企業が増えています。その流れの中でもDMを使った招待状や案内状は、相手のもとに“実物”として届くことから注目度を高めるのに適しています。文字だけでなく、一目で展示会の魅力を伝える画像や、地図・日程情報などをまとめて送り、出展社の熱意を伝えられる手段として機能します。

展示会の開催直前にDMを送れば、相手に「行かないと損かもしれない」と意識を高めてもらえたり、予定の調整を促すきっかけになったりします。また会期終了後のフォローレターやキャンペーン情報をDMで送付することで、顧客との関係性を維持できるケースもあります。イベントや展示領域の拡大に合わせて、紙DMによる集客力とブランド認知獲得を狙う動きは今後も定着すると考えられています(参照*3)。

なぜあなたのDMは読まれないのか?効果が出ない「現場あるある」

・ターゲットとリスト設計の問題

DMが読まれない原因として最初に挙げられるのは、ターゲットとリスト設計に問題があるケースです。送る対象が製品・サービスに無関心な人にまで広がりすぎてしまうと、相手はDMの内容にピンと来ず、そのまま捨てられる可能性が高まります。ターゲットを厳選しパーソナライズした場合には反応率が大きく向上するとされ、購買履歴や問い合わせ履歴をきちんと活用することで費用対効果が高まることが示されています(参照*2)。

DM施策の基礎は「誰に送るか」の定義です。ビジョナリーホールディングスが運営するメガネスーパーでは、店舗接客データとDMを連携させることで、ROIを200%超に引き上げたという成果が紹介されています(参照*5)。このように、適切なリストとタイミングをかみ合わせることで、DMは大きな効果を発揮しますが、逆に言うとそこがずれると無駄打ちに終わるリスクが大きいのです。


・クリエイティブとメッセージの問題

「大きなメリットを感じられない」「デザインが地味で封筒が目立たない」など、クリエイティブの弱さが原因で開封されないケースも多く見られます。読み手の興味を引くためには、封筒やハガキの形状・デザインに一工夫あるだけで開封率が格段に上がるという調査結果も報告されています(参照*2)。

また、定型的な挨拶文だけが並ぶDMや、サービス情報を一覧しただけのDMも興味を持たれにくい傾向があります。読み手が「自分に関係ある」「これを利用すれば具体的なメリットがある」と感じさせるメッセージを提示できるかどうかが重要です。オファーや限定特典、今すぐ行動する理由などの仕掛けがカギとなります。


・タイミングとオファー設計の問題

タイミングを逃してしまうと、どれだけ良いメッセージを送っても反応に結びつきにくくなります。例えば、引越しシーズン直後に引越し関連サービスのDMを送っても「もう終わった」というタイミングでは効果は薄いでしょう。ボーナス支給前に高額商品向けの優待券を送っても、まだ予算を見通せない状態の人が多く、十分な反応を得にくい場合があります。DMの効果が感じられない背景には、こうしたタイミングのミスマッチも含まれています。

購買意欲が高まりやすい時期を選んだり、誕生日や記念日など個人のイベントに合わせてDMを送ったりすることで、読み手に特別感を感じさせることができます(参照*5)。実際に、誕生日クーポンや季節の節目に合わせた特典DMを活用し、顧客との関係を維持しているアパレルECの事例もあります。DM送付のスケジュールとオファー内容が合致すれば、読み手にとって魅力的な提案となり、効果が大きく向上します。

DMの効果を最大化させるための3つの鉄則

鉄則1:ターゲットとパーソナライズの徹底

DMの効果を高めるためには、大量一斉送信ではなく、できるだけ細分化されたターゲットに最適化されたメッセージを送ることが重要です。購買履歴や閲覧履歴、会員ランクなどをCRM(顧客関係管理システム)で一元管理し、パーソナライズのレベルを向上させることで、読み手を「自分ごと」と感じさせ、開封率や反応率を上げられます(参照*6)。

ラクスル株式会社が提供する「パーソナライズDM」のように、行動履歴に基づいて内容や封筒デザインを個別に変える仕組みも登場しています(参照*7)。QRコードの動的付与やデータ印刷と組み合わせれば、読み手がWebにアクセスしたタイミングをリアルタイムで把握し、すぐにフォロー営業へ移行できるなど、従来の一方向的なDMを顧客との対話へつなげることが可能です。


鉄則2:オファーとコンテンツ設計

DMでは、読み手に魅力を感じてもらえるオファーと分かりやすいコンテンツ設計が欠かせません。割引券や特典、無料体験、デモセッションなどを企画し、DMを受け取った相手が「これは得だ」と思える具体的メリットを提示することが有効です。反応率を2%から4%以上に高めた事例の多くでは、ターゲットに合わせてオファーを綿密に作り込んでおり、そこでの差別化が競合に勝つ決め手となっています(参照*8)。

コンテンツは、一目でポイントが分かるレイアウトとビジュアル設計が望ましいです。特にBtoB向けのDMでは、数値やグラフ、導入効果のシミュレーションなどを図解してあげると説得力が増し、商談候補者の意思を前向きにできます。視認性を高めるために、色使いや余白を意識し、受け取り手が開封してから読み進めるまでをスムーズにつなぐ構成を整えましょう。


鉄則3:デジタル連携とフォロー導線

DMは紙メディアですが、デジタルチャネルと連動させることでより大きな効果を生み出します。DMにQRコードやURLを設置し、読み手をウェブサイトやランディングページへ促すのが一般的です。IT企業の事例では、DM発送後にフォローコールを実施し、資料を読んだ企業から無料デモ体験を申し込んでもらう流れを組み合わせることで商談を効率的に創出しました(参照*9)。

さらに、デジタル側からも追い風を送ることが効果的です。DMを送るタイミングでメールやSNS告知も合わせて実施する、あるいはDMの到着日を想定した個別の電話フォローを準備するなど、複数チャネルを連動させます。紙からデジタル、そして対面といった複数ルートの接触を重ねることで、潜在顧客が抱く疑問や不明点を素早く解消し、ロイヤルティ向上を促す施策につなげられます。

「やりっぱなし」を防ぐDMの効果測定とKPI設定

・DM施策で追うべき主要指標

DMの効果を測定する上で、まず注目されるのは反応率とコンバージョン率です。反応率はレスポンス件数÷発送件数×100で求められ、資料請求や問い合わせ、アンケート回答など事前に定めた行動が含まれます。コンバージョン率は申し込み数や成約数を同様に計算し、実際にビジネス成果につながったかどうかを測ります。さらにCPR(Cost Per Response)やCPO(Cost Per Order)を見れば1件あたりの獲得コストの把握も可能です(参照*10)。

一方でDMは、すぐに購買や問い合わせに結びつかない場合でも、ブランディングや将来的な関係構築の種まきとして機能します。そのため、短期的な指標だけでなく、LTV(顧客生涯価値)などの長期的な貢献度も併せて考慮することが重要です。DMが届いてすぐの反応だけを見て成否を判断せず、一定期間の売上推移やリピート率も観察し、総合的な価値を検証する姿勢が求められます。


・KPI設計と費用対効果の考え方

DMには制作費、印刷費、郵送費などが伴うため、費用対効果の試算が重要です。実施前にはコスト合計やBEP(損益分岐点)、LTVの概念を押さえておくとよいでしょう。コスト合計を粗利単価で割ると、最低限回収したい受注件数が明らかになります(参照*10)。さらにLTVを考慮すれば、初回の受注だけでなく、継続的な利益貢献を見込む戦略が立てやすくなります。

KPIを設定するうえでは、目的をどこに置くかが大切です。新規顧客獲得がゴールなのか、既存顧客のロイヤルティ向上がゴールなのかによって論点が変わります。優良顧客をさらに育てる施策であれば、商品の購入金額アップや継続率上昇を指標とすることも考えられます。DMの成功定義を正しく設定することが、費用対効果を正しく評価するための第一歩です。


・ABテストとPDCA運用の実務

DM施策の効果を最大化するためには、試行錯誤のサイクルを回すことが不可欠です。代表的な方法の1つがABテストであり、送り先を2つのグループに分けて封筒の色やオファー内容の違いによる結果を比較します。例えばグループAには割引クーポンを、グループBにはギフト券を用意して、どちらが反応率や購買額に差が出るかを検証します。これにより曖昧な勘ではなく、実データに基づいた選択が可能になります。

PDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルを繰り返すことも重要です(参照*9)。DMの効果検証では、成功要因と失敗要因を明確化し、次回の施策に生かす分析プロセスが重視されています。具体的にはクリエイティブや送付タイミングを再評価し、あらためて目的達成に近づくアプローチを洗練させることで、少しずつDMの総合効果を高めていくことが可能です。

展示会マーケティングでDM効果を引き出す実践ステップ

・来場前DMによる集客設計

展示会には出展企業が多く並ぶため、自社ブースへ足を運んでもらう工夫が必要です。来場前にDMを送る段階では、イベント概要とともに日程やアクセス方法、特典内容などを分かりやすくまとめることがポイントです。例えば、先着何名に限定プレゼントを用意する、ブース来訪時に詳細な資料をお渡しするなど、具体的な来場メリットを示すと興味の敷居が下がります。

近年はIP(アニメやキャラクターなど)を活用したプロモーション企画で、来場後の体験を想像させる企業も増えています(参照*3)。こうしたコラボ企画をDMに盛り込むと、その世界観を最初に紙で触れ、実際に展示会場で体験する流れを作りやすく、ブランド認知度の向上や話題性の獲得にもつながります。


・会期中・会期後DMによるフォロー設計

展示会の会期中は、来場者へのリアルタイム情報提供手段としてDMを再利用することは少ないですが、終了後のフォローDMには大きな可能性があります。ブースに立ち寄ってくれた人にお礼の意を込めてDMを送ることで、展示会後も連絡を取り続けるきっかけにできます。例えば来場後限定の割引クーポンや追加資料の送付をDMで案内するなど、来場者が次のアクションをとりやすいように設計します。

また、全日本DM大賞などで注目される施策のように、DMのクリエイティブ力を上げれば来場者の満足度だけでなくブランド推奨度まで高められる実例もあります。ザ・プロアクティブカンパニー株式会社の事例ではブランド推奨度を20%以上改善した施策が表彰されており、デジタルとの組み合わせやDM連続施策の活用が成果の要因とされています(参照*11)。


・休眠リードと既存顧客への再アプローチ

展示会へ来られなかった顧客や、以前は興味を持っていたのに最近接触がない休眠顧客へもDMを送ることで再度アプローチを試みられます。ある不動産企業の例では、DMと電話フォローを組み合わせることで契約率の向上につなげた事例が報告されています(参照*12)。また、アパレルECサイトで誕生日や記念日にDMを送る手法もあり、キャンペーンコードやスペシャルオファーを同梱し、顧客の興味を引き戻す働きかけが奏功したとされています。

既に取引のある既存顧客も、新商品やアップグレード情報、新しいサービス内容などをDMで知らせることで、さらなるリピート注文や販売単価の向上を期待できます。DMならではの「直接伝える」インパクトによって、顧客がネット検索やメールの山に埋もれることなく確実に情報を受け取れる仕組みを整えます。こうした継続フォローを実践する上でも、DMのリスト設計とタイミングが重要です。

おわりに:DMは「手紙」である。デジタルとアナログを融合させた顧客体験を

紙のダイレクトメールは、単なる広告媒体ではなく「手紙」として人の心に届く特性があります。温かみやストーリー性を感じてもらえると、購買や成約へのスムーズな導線になるだけでなく、企業への信頼感まで高める効果があります。

デジタル全盛時代だからこそ、アナログの強さを取り入れることで「目に留めさせる」「記憶に残す」力がより際立ちます。展示会マーケティングにおいても、DMならではの確かな接点を活かし、デジタルツールとの組み合わせで顧客体験の幅を広げてみてください。


・参照


〈監修・執筆者情報〉

執筆:マーケティングWeek編集部

経歴:マーケティングWeekの記事編集部です。マーケティング領域に関する展示会を主催し、300近い出展社と数万人の来場者をご支援しています。支援実績を活かしてマーケティングに関わる有益な情報を発信します。


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