なぜ UI/UX がマーケティング成果を決定づけるのか?UI/UX の基本と事例を解説

はじめに

近年、マーケティング手法は多様化し、企業が提供するサービスや製品はオンラインやスマートデバイス上で顧客と接触する機会が大幅に増えています。このような背景から、魅力的なデザインや操作性の設計は、顧客の満足度や利用継続率に大きく影響することが知られ、UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)への注目が高まっています。

本記事では、UIとUXの違いや関連性、マーケティングにおける重要性、具体的な改善手法、そして実際の成功事例を紹介します。

●目次

UIとUXの基本概念

・UI(ユーザーインターフェース)とは

UIとはUser Interfaceの略称で、利用者とデバイスやサービス、アプリケーションをつなぐ接点を指します。具体的にはWebサイトのレイアウトやボタン、文字のフォント、スマートフォンアプリのメニュー配置など、ユーザーが視覚的・操作的に触れる要素が含まれます。

これらの要素がスムーズに連動することで、ストレスの少ない利用体験が実現します。どれほど優れたサービス内容でも、UI設計が不親切であればユーザーは離脱しやすくなるため、最初の顧客接点を整えることが重要です。

UIデザインのポイントには、読みやすい文字サイズや分かりやすいナビゲーションの構築などがあります。ボタンの配置や色、サイズといった細部もコンバージョン率(CVR)に影響するため、UI設計はマーケティング成果に直結するテーマです(参照*1)。また、サイトやアプリのビジュアルを統一することで、ブランドの印象や世界観もユーザーに強く伝わります。

UIはユーザーとの第一の接触面であるため、直感的で分かりやすい設計が求められます。例えば、メインカラーやフォントの統一、一貫したロゴの使い方は視覚的な統合感を生み出します。ユーザーが操作に不安や複雑さを感じずに利用を続けられるよう、余白や配置など細部に配慮し、利便性を高めていくことがポイントです(参照*2)。


・UX(ユーザーエクスペリエンス)とは

UXとはUser Experienceの略で、ユーザーがサービスや商品を利用して得られる総合的な体験を指します。
サイトやアプリの操作感だけでなく、購入時の気持ちや問い合わせ時の対応、システムの安定性まで多角的に捉えます。魅力的なUXが実現されていると、利用者はストレスなく目的を達成でき、ポジティブな感情を得やすくなるため、企業やサービスへの信頼や愛着が高まります。

UXの領域は直感的な使用感や感情面の満足度など、目に見えにくい部分も含みます。例えば画面のロード速度が遅いと、デザインが優れていても全体としての使い勝手が悪いと評価される場合があります。つまり、見た目だけでなく体験のなめらかさや満足感がUXの質を大きく左右します(参照*3)。
UXの改善はビジネス成果に直結しやすく、ユーザーが再度サービスを利用したいと思うための重要な指標です。

企業視点では、ユーザーの意見や使い方をリサーチし、それをサービス改善に反映するプロセスがUXに深く関係します。コールセンターでの問い合わせ対応やカスタマーサポートの質もUXの一部とされ、マーケティング施策と連動させる必要があります(参照*4)。単なる見た目の刷新にとどまらず、ユーザーが何を求めているかを見極めながら体験全体を設計することがUXの本質です。


・UIとUXの違いと関係性

UIとUXは混同されがちですが、UIが操作性や視覚要素など具体的な接点を示すのに対し、UXはその接点を通じて得られる体験全体を指します。たとえばボタン配置が優れていると操作が分かりやすくなりますが、そのボタンの色や大きさがユーザーの気持ちを動かすかどうかは別の視点が必要です。UIはUXの一部を構成する要素であり、両者は切り離せない関係にあります。

UIがどれほど丁寧に作り込まれていても、ユーザーが満足を感じないのであればUXが良いとは言えません。同様に、良好なUXを実現するためには、洗練されたUIが不可欠です(参照*1)。UIとUXは相互に影響し合うため、デザイン面と体験面の両方に配慮した施策を同時に進めることが理想です。

一般的には、ユーザー理解を踏まえて直感的なUIを整え、さらに満足感を高めるUX全体の設計が求められます。UI・UX双方を連動させることでブランドに対する総合的な評価が向上するため、チーム内で到達点を共有し、整合性を保った施策を展開することがポイントです。

マーケティングにおけるUI/UXの重要性

・デジタルマーケティングにおけるUI/UXの役割

企業がデジタルマーケティングを行う際、UI/UXはブランド認知から購入後のロイヤルティ形成まで大きな影響を与えます。特にオンライン上での顧客との接触は、サービスの成否を左右する重要な局面です。たとえば、画面のデザインが魅力的でも使い勝手が悪ければ離脱率が上がり、逆にUIがシンプルでも全体として満足できる体験が得られればリピーターを生む可能性が高まります。

このとき、マーケターとUXデザイナーの連携は不可欠です。マーケターが行う市場調査やペルソナ作成などの情報と、UXデザイナーが行うユーザーテストやデザイン検証などの知見を統合することで、実際のユーザーの声に即したサービス改善が可能になります(参照*5)。

デジタルマーケティングにおいてUI/UXは、単に目を引くデザインを作るだけでなく、継続的な改善を行いながらビジネス成長を支える重要な柱であり、企業側の一方的なメッセージ発信ではなく、ユーザーが自発的に情報を取得し、満足度の高い体験を得ることで親和性が高まる傾向があります(参照*6)。


・UXとマーケティング指標の関係

マーケティングで注目される指標には、売上やコンバージョン率(CVR)、問い合わせ件数などがあります。これらの数値目標を効率良く達成するために、UX向上を目指す企業が増えています。

2025年5月にECマーケティング株式会社が実施したアンケート調査(実務担当者219名対象)によると、UI/UX改善の目的として「CV(売上や問い合わせ数)の増加」が26.9%、「CVR改善」が20.1%と、ビジネス成果を意識した取り組みが多いことが分かります(参照*7)。

チェックアウトが長い・複雑だと購入途中で離脱する要因になり得ます(参照*8)。また、ページ読み込みが遅いほど直帰が増える傾向が示されており、速度や手順の摩擦を減らすことはコンバージョン改善に寄与し得ます。
さらに、シームレスで苦痛の少ない体験は信頼やロイヤルティにつながり得るという整理があり、良いCXは口コミや継続にも結びつくと説明されています(参照*9)。


・顧客中心マーケティングとUX思考

顧客中心のマーケティングとは、ユーザーのニーズや価値観を優先的に捉えたうえで施策を組み立てる考え方です。UXが重視される場面では、ペルソナとなる人物像が具体的であるほど、ユーザーが求めるサービス体験のイメージを共有しやすくなります。例えば、年齢や性別、デジタルリテラシーの度合いを明確化するだけでなく、ユーザーが抱えている潜在的な課題もリサーチを通じて把握します(参照*6)。

UXリサーチの重要性は、デザイン部門だけでなくマーケティング現場とも連動してこそ高い効果を発揮します(参照*5)。単に使いにくい部分の解消だけでなく、顧客が真に望んでいる体験を形にするために、オンライン・オフラインを含めた接点全体を見直す取り組みが必要です。顧客中心マーケティングとUX思考が結びつくことで、企業のブランドイメージやユーザー満足度の向上が期待されます。

企業側の都合や制約を優先してしまうと、UXが損なわれるおそれがあります。顧客中心主義を徹底するためには、デザイナーやマーケターが協力しながら改善を続ける体制が重要です。

UI/UX改善の具体的手法

・ペルソナとカスタマージャーニーの設計

UI/UX改善を行う際、まず重視されるのがペルソナ設計です。ペルソナとは典型的なユーザー像のことで、年齢や性別、経済状況、趣味、ITリテラシーなどを詳細に設定し、実際のユーザー行動をイメージしやすくするための指針となります(参照*3)。

ペルソナ設計とともに注目されるのがカスタマージャーニーです。ユーザーがサービスに出会ってから利用に至るまで、どんなステップを踏むのかを時系列で可視化する手法として活用されます。途中にはWebサイトへのアクセス、SNS情報の確認、商品の比較検討、最終的な購入や会員登録など、さまざまな接触点が含まれます(参照*2)。

また、ペルソナごとのジャーニーを描くことで、一部のユーザーが抱えている不安やボトルネックを把握しやすくなります。例えば若年層ペルソナの場合、スマホからの操作性がより重視される可能性があります。カスタマージャーニー設計は、具体的な対策を行ううえでの基礎データとなるため、UI改善やマーケティング施策を具体化する前に整理しておくことが重要です(参照*10)。


・UXリサーチとデータ分析の活用

ユーザーが実際に何を感じ、どこでつまずいているのかを把握するために、UXリサーチは欠かせません。観察法、インタビュー、アンケート調査、ヒートマップ分析などの手法が代表的です。観察法ではユーザーの利用状況を実際に観察し、アンケートやインタビューでは定量・定性的に傾向を掴み、UI/UXの問題点を明らかにします(参照*6)。これらの調査結果を統合し、改善案へ落とし込むプロセスが効果的なUI/UX向上を支えます。

データ分析では、Googleアナリティクスやアクセス解析ツールを活用して流入経路や滞在時間、離脱タイミングなどを可視化します。数値分析で問題箇所が明確になる一方、ユーザーの心理や背景まで深掘りできない場合もあるため、定性的なリサーチを組み合わせることでUIやUXの評価をより詳細に把握できます(参照*5)。

リサーチ手法の選択は、製品開発フェーズや改善目的に応じて変えることが大切です。初期段階では新しいアイデアを生み出す創出的なアプローチ、設計段階では使いやすさを検証する評価、完成後は他社製品や過去データとの比較を行い、継続的な改善を実行します(参照*11)。


・UI改善とコンバージョン最適化

UIを改善することで、ユーザーが直感的に操作できる環境を整えるだけでなく、コンバージョン率(CVR)の向上も期待できます。たとえばボタン文言の変更だけでCVRが大幅に上昇した事例もあり、小さな調整でも大きな変化が生まれる可能性があります。実際、Webサイト上のソーシャルボタンを削除したことでCVRが11.9%上昇したケースなどが報告されています(参照*12)。

UI改善のポイントは、ユーザーが最終的に実施したい行動への導線をシンプルかつ分かりやすくすることです。フォーム入力のステップ数を減らしたり、広告色の強い要素を減らすことで、ユーザーがストレスなく操作できるように調整します(参照*2)。また、統一感ある色使いやブランドを認知しやすい配置などは全体の印象を左右し、安心感をもたらすうえで有効です。

こうしたコンバージョン最適化を継続するためには、A/Bテストなどの数値的比較も積極的に取り入れると効果的です。例えば、CTAボタンの文言タイプAとタイプBを同時にテストし、どちらが多く成約を生むかを検証します。


・PDCAと継続的改善の体制

UI/UX改善におけるPDCAサイクルでは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のプロセスを繰り返して質を高めていきます。ユーザビリティテストやアクセス解析に基づき課題を抽出し、次の改善施策へ素早くフィードバックする体制が重要です。こうした体制がなければ、リニューアル後に問題点が放置され、機会損失につながります(参照*7)。

2025年5月のアンケート調査によると、UI/UX改善の運用体制は兼任スタッフがPDCAを回すケースが46.1%、専任スタッフは27.4%、誰も回していない状況が20.6%となっており、体制構築が大きな課題となっています(参照*7)。

継続的なUI/UX改善には、外部コンサルの活用も有効です。自社内だけで課題発掘から実践まで担うのはノウハウやリソース不足に陥りやすいため、専門的な視点を取り入れることで改善施策を加速できます。

成功事例の紹介

・金融サービスにおけるUI/UX改善事例

金融サービスでは、セキュリティと使いやすさの両立が求められます。SBI証券ではサイトの大幅リニューアルを実施し、複数のサイトや取引画面をレスポンシブ対応することで改善を進めています。CXデザイン部を含む専任組織がUI/UXを推進し、新規ユーザーと既存ユーザー双方の使用感向上を目標にしています(参照*13)。

このリニューアルでは、スマホ端末での取引や通知の受け取りなど、ユーザーが求める機能を段階的に整備している点が特徴です。投資経験が浅い利用者にも操作が分かりやすいようナビゲーション設計を工夫し、初心者から上級者まで満足できるUI/UXを目指しています。こうした取り組みでカバー範囲を拡大しつつ、2026年までにさらなるアプリの刷新も予定されています。


・EC・WebサービスにおけるCVR改善事例

ECサイトやWebサービスでは、ボタン文言や導線の変更がビジネス成果を左右します。海外の事例ではソーシャルボタンの削除でCVRが11.9%上昇し、「無料」という言葉を変えたことでCVRが200%向上した研究報告もあります。さらに、1年かけて5種類のボタン文言をテストし、最適なものを採用してCVRを69倍にした事例もあり、小さな改良の積み重ねが大きな成果につながることが示されています(参照*12)。

また、Shake ShackやGardens by the Bayのようなオフライン要素の強いサービスでも、オンラインの予約やチケット購入をスムーズに整えたことで顧客エンゲージメントを高めた事例があります。レイアウトや文字フォントなどのUI要素を統一し、利用者の不安を取り除く導線を設計することで、オンラインとオフラインの体験をシームレスにつなげています(参照*4)。

ECやWebサービスでは、ユーザーが複数のサービスを比較することも多く、UI/UXの差が競合他社との差別化要因となります。カートや検索機能、情報入力フォームなどのUIをシンプルに設計し、全体の操作感を向上させることがCVRアップに貢献します。結果的に顧客満足度を高め、リピーターを生む好循環を構築できます。


・UXリサーチ組織とマーケティング連携の事例

UXリサーチに力を入れる企業では、関連部署との連携が重要なカギとなります。決済・金融サービスの事例では、書籍などで紹介されている複数のリサーチ手法を組み合わせてサービスを根本から設計しているケースがあります。ユーザーインタビュー、ユーザビリティテスト、日記調査などの方法を統合し、開発とマーケティング部門が共通の視点から意思決定する仕組みを構築しています(参照*14)。

リサーチ結果をサービス開発やアイデア創出のワークショップで活用し、週次のUXリサーチ体制を整えて反復的に施策を練り直す取り組みが進められています。eKYC(本人確認の電子化)フローの例では、複数回のユーザビリティテストを繰り返すことで操作完了率を引き上げた実績もあります。さらにビットコイン取引サービスではユーザーに少額投資の敷居を下げるプロセスを導入し、約1年9か月で300万人を超えるユーザーを獲得した事例も報告されています(参照*14)。

UXリサーチの成果を部門間で共有し、マーケティング施策と一体化させることで、途中離脱率を減らし、顧客体験全体を最適化する流れが生まれます。こうした社内連携型の仕組みは大きな投資が必要ですが、長期的にはブランド力や顧客継続率の向上につながるため、多くの企業が取り組みを進めています。

おわりに

UI/UXは、単なるデザイン上の課題ではなく、マーケティング成果を左右する重要なテーマです。オンラインを軸とした顧客接点が増える今、顧客が求める体験を把握し、継続的に改善を行う姿勢が成果向上の土台となります。


・参照


〈監修・執筆者情報〉

執筆:マーケティングWeek編集部

経歴:マーケティングWeekの記事編集部です。マーケティング領域に関する展示会を主催し、300近い出展社と数万人の来場者をご支援しています。支援実績を活かしてマーケティングに関わる有益な情報を発信します。


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