様々なweb広告メディアの選び方|成果につながる広告媒体をどう判断する?
はじめに
広告メディアの選び方は、流行している媒体を追うことではなく、自社の目的に合う媒体を見つける作業であり、自社の目的の明確化が必要です。
本稿では「webにおける広告メディアの選び方」を中心に、成果につながる広告媒体をどう判断するかを解説します。
●目次
広告メディア選びで最初に決めるべきこと
電通は「2024年 日本の広告費」で、総広告費が7兆6,730億円(前年比104.9%)になり、3年連続で過去最高を更新したと発表しました。インターネット広告費を中心に、マスコミ四媒体広告費、プロモーションメディア広告費の3つすべてが成長していると述べています(参照*1)。
広告マーケットが広がる中で、広告メディアの選び方で迷う原因は、媒体の比較から入ってしまうことにあります。
本来であれば、先に「何を達成したいか」「誰に届けたいか」「いくらで、誰が回すか」を決めるべきです。
・目的とKGI・KPIを言語化する(何を達成したいか)
広告メディア選びの出発点は、目的を数字に直すことです。KGIは最終ゴール、KPIは進捗を測る数字です。KGIとKPIの間に、さらに「うまくいく要因」をKSF(重要成功要因)として定義すると良いでしょう。(参照*2)
たとえば「売上を伸ばす」が目的でも、広告で直接売るのか、まず問い合わせを増やすのかで、選ぶ広告媒体は変わります。
そこで、
KGIを「月の売上」
KSFが「購入につながる商品ページの閲覧数」
KPIが「クリック数・購入数」
のように、一本の線でつながる形にします。
ここが曖昧にすると、広告に対する評価がしにくく、改善の優先順位も決まりません。
媒体ごとに見るべき数字も変わります。例えば、
・リスティング広告(検索連動型広告)はCPA(顧客獲得単価)・CVR(コンバージョン率)・ROAS(広告費1円あたりの売上高)。
・SNS広告はエンゲージメント数(いいね」「コメント」「保存」「シェア」などの総数)・CTR(クリック率)・CPA。
・ディスプレイ広告はリーチ数・ビューアブル率・CPA。
・動画広告はVTR(動画視聴完了率)・CPV(広告視聴単価)・指名検索数
などが見るべき指標の一例です(参照*2)。
・ターゲットとカスタマージャーニーを整理する(誰に届けたいか)
次に、誰が、どんな流れで買うのか(カスタマージャーニー:「知る→比べる→買う」のような行動の流れ)を定義します。
カスタマージャーニーを定義すると、広告メディアを「今すぐ探している人に強い」「知ってもらうのに強い」のように役割分担できます。
また、ターゲット層がどこに時間を使っているかは、媒体選びの前提になります。
例えば総務省は、平日の利用時間がインターネット181.8分、テレビ(リアルタイム)154.7分、休日はインターネット183.7分、テレビ(リアルタイム)182.7分と公表しており、こうした数値は参考となります。
また、全年代の利用率はLINEが91.1%、Instagramが52.6%、X(旧Twitter)が43.3%、Facebookが26.8%(参照*3)などとなっており、ターゲットが日常的に触れている場所を外すと、どれだけ良い広告でも届きにくくなります。
PR TIMESの「SNS広告で購入経験がある全国のZ世代」に対する調査では、購買につながる広告形式は動画広告が2年連続トップで、次いでストーリー形式、漫画広告、ショッピング広告、静止画広告の順でした(参照*4)。例えばここからは、Z世代に対しては、短い時間で理解できる形式が合いやすいと読み取れます。
・予算と運用体制の現実ラインを決める(いくらで、誰が回すべきか)
最後に、予算と運用体制の現実ラインを決めます。多くの広告メディアは、出すだけで終わりではありません。数字を見て直し、画像や文章を作り直し、配信先や入札(広告枠の買い方)を調整します。
ここに割ける人と時間が少ないにも関わらず、細かい改善が前提の媒体を選ぶと、成果が出る前に資金が尽きてしまいます。
キュレーションプラットフォームの「はてな」は、KPI設定の手順として、まずオウンドメディアの目的とKGIを明確にし、事業課題の中でどう貢献するかを定義し、根拠となる数値目標をKGIとして定めると整理しています(参照*5)。
広告でも同じで、先に「この金額で、この数字まで」を置くと、無理のない運用設計にしやすくなります。
たとえば、毎週の改善ができるならSNS広告や検索広告で調整が回しやすい一方、制作に時間がかかる動画広告は、撮影や編集の工数も含めて予算化が必要です。
担当が1人なのか、制作を内製できるのか、代理店(広告運用を代行する会社)に任せるのか。
社内での分担が曖昧な場合は、「誰が企画するか」「誰が制作するか」「誰が配信を触るか」「誰が数字を報告するか」だけでも先に決めておくと良いでしょう。
主要な広告メディアの種類と向き・不向き
広告メディアには、検索、ディスプレイ、SNS、動画、リテールメディア(小売の広告枠)、インフルエンサー(影響力のある発信者)などがあります。さらに、テレビCM・ラジオ広告・屋外広告(駅や街頭の看板など)のようなオフラインの広告媒体も選択肢です。大切なのは、媒体名で覚えるのではなく「どんな場面の人に強いか」で整理することです。
ここでは代表的な種類を、向き・不向きが伝わる形で説明します。
・検索広告とディスプレイ広告の使い分け
検索広告は、何かを探している人に出せる広告です。たとえば「料金」「比較」「口コミ」などで検索している人は、検討が進んでいることが多く、問い合わせや購入に近い行動を取りやすい傾向があります。一方で、検索されにくい商品や、まだ名前を知られていない新商品は、そもそも検索の数が小さくなります。
ディスプレイ広告は、ニュースや天気、アプリなどの画面に表示される広告です。今すぐ探していない人にも届くため、認知や興味づけに向きます。その代わり、クリックや購入までの距離が長くなりやすく、広告だけで判断せず、サイト側の説明や導線もあわせて整えるほうが成果が安定します。
市場データとして、IAB(米国の広告業界団体)は、米国のデジタル広告収益が2024年に前年比14.9%増の2,584億ドルになったと示し、カテゴリ別では検索が1,029億ドルで15.9%増、ディスプレイが743億ドルで12.4%増と公表しました(参照*6)。検索とディスプレイは役割が違うため、目的に合わせて配分を考える前提が見えてきます。
・SNS広告と動画広告の使い分け
SNS広告は、普段の投稿の流れの中に自然に入る広告です。興味関心(好きなこと)に合わせて届けやすく、商品を知らない人に「そういえば気になる」を作りやすい一方、情報が薄い広告だと、すぐに流され、無視されてしまいます。
SNSでよく用いられる動画広告は、短時間で理解させたり、使い方を見せたりするのが得意です。上述したZ世代向けのPR TIMESの調査では、購買につながる広告形式として動画広告が2年連続トップで、ストーリー形式が続くと示されています(参照*4)。
ただし、最近では生成AIが登場したものの、動画は制作の手間がかかります。撮影や編集が難しい場合は、まず静止画や短い縦型動画など、作りやすい形式から始め、反応が良い型が見えてから制作を厚くするほうが運用に合います。
・リテールメディア・インフルエンサーの位置づけ
リテールメディアは、小売企業やECなど通販サイトの中で出せる広告枠です。買う場所の近くで露出できるため、購入に近い場面で効きやすいのが特徴です。
一方で、インフルエンサーは、ソーシャル・ネットワークの中で、特定の分野で信頼されている発信者を通じて、商品理解を深めたり、使う場面のイメージを作ったりできます。
IABは米国の2024年のカテゴリ別収益で、リテールメディアが537億ドルで23.0%増、ソーシャルが888億ドルで36.7%増、と示しました(参照*6)。いずれも大きく伸びていますが、伸びているから選ぶのではなく、たとえば「比較検討の最後のひと押しが弱い」ならリテールメディア、「説明が難しく誤解されやすい」ならソーシャルのインフルエンサーのように、課題に対して位置づけると良いでしょう。
オフラインの広告媒体も同じ考え方で整理できます。テレビCMやラジオは広く知ってもらう用途、屋外広告は生活動線の中で思い出してもらう用途に合いやすい傾向があります。
デジタルだけで完結させず、「どの段階の人に、どの場面で思い出してほしいか」から役割を置くと、クロスメディア(複数媒体の組み合わせ)の選定がやりやすいでしょう。
成果につながる広告媒体を判断するチェックリスト
広告メディアの候補が出たら、最後は「成果につながる条件」を満たすかを判定します。
ここでは、媒体の機能だけでなく、配信の設計、計測のやり方、広告とページのつながりまで含めて判断します。
ここでは、選び方の最終確認として使える3つの観点を整理します。
・配信設計とターゲティングの精度
配信設計は「誰に、どんな場面で、何を見せるか」を決めることです。ターゲティングは「届けたい人を絞ること」です。
IABは、プライバシー保護と同時に一人ひとりに合わせた配信を両立するうえで、ファーストパーティデータ(自社で集めたデータ)の活用や、コンテクストターゲティング(見ているページ内容に合わせる配信)が重要になると述べています(参照*6)。
実務では、最初から細かく絞りすぎないほうが良い場合もありますので、まずは大きめのターゲットで反応を見て、良い層に絞り込んでいくという運用もあります。
・計測とアトリビューションの考え方
計測は、広告がどれだけ役に立ったかを数字で確かめることです。アトリビューションは、購入や問い合わせなどの成果を、複数の広告にどう配分して評価するかを決めることです。たとえば、最初にSNS広告で知り、あとから検索して購入した場合、最後に押した検索広告だけを評価すると、SNS広告が担った認知の役割を評価できません。
ある測定会社は、広告プラットフォームのマーケティング・ミックス・モデリングの枠組みを使い、2017年4月以降に世界で700件超の測定分析を扱ったとしています。クラウド経由でデータを取り込み、検索広告、ディスプレイ広告、動画広告などを横断して広告費と成果の関係を把握できるようにしました(参照*7)。
この考え方を小さく取り入れるだけでも、媒体の選び方は変わります。最後にクリックされた広告だけで結論を出さず、認知や比較の段階で効いた広告は別のKPIで評価します。そうすると、検索広告だけ、SNS広告だけといった偏りを避けやすくなります。
・クリエイティブとLPの適合性
クリエイティブは広告の見た目や文章のこと。LPは広告をクリックした先のページ(ランディングページ)を指します。広告メディアの選び方では、媒体の性能よりも、広告とLPが同じ約束をしているかが差になります。広告で期待させた内容がLPにないと、クリックは取れても成果が出にくくなります。
また、PR TIMESの調査では、SNS広告の不快要素として「長すぎる」「繰り返し表示される」点が挙げられ、今後は納得できる情報を適切な形式で適切な場に届けることが求められると指摘されています(参照*4)。
短く、かつ目を止めさせるだけでなく、LPで納得できる情報を用意する設計が前提になります。
媒体ごとに合う表現は変わります。検索広告は、ユーザーの検索意図に対して広告とLPの内容が一致し、LPが「関連性が高く有用」であることが重視されるため、料金・比較材料・申込手順などの要点に早く到達できる構成が合います。
逆に、SNSや動画は、広告で伝えたイメージや価値提案とLPのメッセージが連続しているほど理解が進むため、写真と短い説明で「何が得られるか」と「次に何をするか」を迷わせない作りが向きます。
具体例でわかるメディア選定のパターン
ここからは、目的別に広告メディアをどう組み合わせるかを、具体例で整理します。
・BtoBのリード獲得に強い組み合わせ例
BtoB(企業向け)のリード獲得は、いきなり購入が起きにくく、問い合わせや資料請求などの「見込み客の情報」を増やす設計が中心になります。
したがって、検討が進んだ人を取りこぼしにくい検索広告と、検討の入口を増やすディスプレイ広告やSNS広告を分けて使うことです。検索広告ではCPAやCVRを中心に見て、資料請求や問い合わせの効率を上げます。
ディスプレイ広告ではリーチやビューアブル率(見える位置で表示された割合)も見ながら、まず知ってもらう量を確保します。
LPでは「誰の、どんな課題を、どう解決するか」を短く示し、資料の中身が想像できる見出しを置くと、広告とページのつながりが良くなります。リード獲得では、フォーム(入力欄)の長さや入力のしやすさも、成果の差になりやすい点です。
・BtoCのEC売上に強い組み合わせ例
BtoC(一般消費者向け)のECは、衝動買いもあれば、比較して買う人もいます。上述したZ世代に対するPR TIMESの調査では、広告接触前から購入予定がなかった層が約7割を占め、SNS広告が新たな購買行動のきっかけになっていると示されており、SNS広告を「最初のきっかけ」として位置づけるケースは有効でしょう。
たとえば、SNS広告や動画広告で使用シーンを見せて興味を作り、後から検索広告で「商品名+口コミ」「商品名+最安」などの指名検索や比較検索を取りに行きます。
注意点は、SNS側で出しすぎると不快につながりやすいことです。配信頻度を調整し、LPでは価格、送料、返品などの不安を先回りして書くと良いでしょう。
・店舗集客とオフライン計測の考え方
店舗集客は、広告の成果が「来店」なので、ネット上のクリックだけでは判断しにくい領域です。そこで、オンラインとオフライン(店頭)の数字をつなぐ計測の考え方が役立ちます。
したがって実務では、来店の代わりになる中間指標も置きます。
たとえば「地図ページの閲覧」「店舗名の指名検索」「クーポン表示」などです。検索広告は「近く」「営業時間」など今すぐ行きたい人に合いやすく、SNSや動画は「行ってみたい」を作る用途に適しています。
どの段階を増やしたいのかを決めてから媒体を選ぶと、店舗集客でも改善の打ち手が整理できます。
おわりに
広告メディアの選び方は、媒体の比較表を作ることではなく、目的から逆算して役割を割り振ることです。KGI・KPI、ターゲットと行動の流れ、予算と運用体制の3点が決まると、候補は自然に絞れます。
そのうえで、配信設計、計測、クリエイティブとLPのつながりを確認すると、成果につながる広告媒体を判断しやすくなります。まずは一つの媒体に絞りすぎず、役割分担で全体の数字を作る設計を試みてみましょう。
・参照
- (*1)Impress Watch – 日本の広告費、2024年は過去最高 7.6兆円に成長
- (*2)《WEB広告のKPI迷子を卒業》各プラットフォーム別「最適指標」の選び方ガイド!
- (*3)総務省 – 総務省|報道資料|「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
- (*4)プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES – 【2025年最新版|SNS広告の購買行動調査】「買う予定はなかった」ユーザーは依然7割超え!一方で広告の“効き方”に変化の兆し
- (*5)オウンドメディア戦略ラボ by はてな – オウンドメディアのKPI設定|成果につながる指標の選び方と落とし穴の対策
- (*6)IAB – Digital Ad Revenue Surges 15% YoY in 2024, Climbing to $259B, According to IAB
- (*7)Nielsen – Nielsen and Google Drive Unprecedented Advertiser Value Through Marketing Mix Modeling Program
〈監修・執筆者情報〉
経歴:マーケティングWeekの記事編集部です。マーケティング領域に関する展示会を主催し、300近い出展社と数万人の来場者をご支援しています。支援実績を活かしてマーケティングに関わる有益な情報を発信します。
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