ECの売上を伸ばすには?広告に頼らない成長の考え方と実践施策

はじめに

ECの売上を伸ばすとき、広告を増やすと、成果が出る前に費用が膨らみやすい課題があります。
そこで役に立つのが、売上を要素に分けることです。これにより、課題の発見をしやすくなり、広告に頼りすぎないマーケティングが可能になります。この記事では、

・EC売上の分解
・広告に頼りすぎない実践施策
・ECビジネスにおいて特に考えるべき施策

について、紹介します。

●目次

EC売上を分解してボトルネックを特定する

・売上は集客・CVR・客単価・リピート率で決まる

ECの売上を伸ばす近道は、まず売上の式をシンプルにして見ることです。
売上は

・売上=集客数×CVR×客単価

で決まります。CVRは購入率のことで、来た人のうち何人が買ったかを表します。さらに、購入回数を掛けることでLTV(1人の顧客が一定期間(または生涯)にいくら使うか)を算出することができ、中長期の利益を計算する上で有効です(参照*1)。


・単純な売上以外の数字もチェックする

また、売上の数字だけで見ていると、原因の特定が困難になります。売上が下がったとき、アクセスが落ちたのか、カートに入れる人が減ったのか、購入時に離脱しているのかで、対応は変わります。

たとえば、ECの売上について考える場合

・商品の閲覧数→カートへの追加→購入画面への到達→購入完了

のように購入の段階で並べると、どこで顧客が離脱しているかが一目で分かります。加えて、流入元・端末・新規/リピートで分けて見ると、優先して直すべきボトルネックがはっきりします(参照*2)。


・ECにおいて特に注意すべき指標

ECの改善は、売上だけを原因の特定に至らず、広告依存も招きます。Netwiseによると、ECの形態で常に監視すべき基本指標として
・CVR(転換率、成果に至った割合)
・平均注文額(AOV)
・カゴ落ち率
・リピート購入率
・顧客生涯価値(LTV/CLV)
・顧客獲得単価(CAC)
・売れ筋商品
・直帰率
を挙げています(参照*3)。

これらは
・集客の質(直帰率・CAC)→購入の詰まり(CVR・カゴ落ち率)→単価(AOV)→継続(リピート率・LTV)
と並べてみると、ボトルネックを分析しやすくなります(参照*4)。


・よくあるボトルネック

ECビジネスで売り上げのボトルネックとなるのは、大きく4つです。

・検索順位の下落や露出不足で顧客との接点が減る
・価格や在庫、商品の説明不足などによって、カートに入らない
・購入直前で送料・手数料などの追加費用や会員登録が発生する
・配送の遅れや状態によって継続的な利用につながらない

特に追加費用の提示は、離脱理由の上位であるため、売上が落ちた場合はまず総額表示や送料設計から点検するとよいでしょう(参照*5)。

広告に頼りすぎないための集客の仕方

・広告依存から抜けるためのKPI設計

広告依存から抜けるためのKPI設計では、広告の指標だけで終わらせないことがポイントです。たとえば、顧客獲得単価が上がっているのに売上だけを維持しようとすると、相対的に広告費が増え続けてしまいます。一方で、平均注文額やリピート購入率が上がれば、同じ広告費でも売上が上がりやすくなります。

運用では、週次で見る指標と月次で見る指標を分けましょう。
週次では、商品ページの閲覧数、カート追加、購入、カゴ落ち率のように変化が早いものを見ます。月次は、顧客獲得単価、リピート購入率、顧客生涯価値などを見ます。これらの数値は、Google Analyticsなどを活用して追跡することができます(参照*6)。


・SEOとコンテンツで指名外の流入を増やす

広告以外の集客を作る代表がSEOです。SEO(Search Engine Optimization)とは、検索エンジンにページ内容を正しく理解してもらい、検索結果から見つけられやすくするためにサイトやコンテンツを整えることです(参照*7)。

顧客の検索ワードは大きく、買う目的のDoクエリと情報収集目的のKnowクエリに分けられます。Doクエリでは商品ページを上位表示させ、Knowクエリでは悩み解決の記事で潜在層と接点を作るように最適化することが必要です。Knowクエリで商品を知った人が、記事で納得し、購入ページで決め手を持てる状態を作ると、広告を増やさなくても売上の向上が見込めます(参照*1)。


・口コミ・UGC・紹介で信頼の流入を増やす

信頼で集客を増やす軸が、口コミやUGCです。UGC(User Generated Contents)とは、購入者が投稿した写真や感想など、ユーザーが作るコンテンツのことです。
MarTechは、ECの集客でSEOや広告だけでなく、インフルエンサーやUGC、AI経由の言及など複数チャネルを組み合わせ、顧客獲得単価を抑えつつチャネルを多様化する重要性を挙げています(参照*8)。

運用のコツは、UGCが自然に集まる設計にすることです。たとえば購入後メールで「使い方のコツ」と一緒にSNSへの投稿方法を案内したり、レビューの書き方の例を示すなどです。投稿例を用意し、商品を活用する場面やサイズ感など、顧客が知りたい情報が集まるようにすると、効果が期待できます(参照*8)。


・モール・外部チャネル活用で露出を分散する

集客の偏りを減らすには、複数チャネルで露出を分散することが必要です。チャネルを増やす際は、管理可能かどうかを先に確認する必要があります(参照*9)。

具体的には、管理可否を「在庫」「受注」「価格」「CS(問い合わせ・返品)」「データ」の観点から考えます。複数チャネルになると、在庫差異による欠品・売り越しや、出荷遅延が起きやすいため、在庫・受注を一元で同期できる仕組み(OMS/在庫一元管理)を先に整えるのが安全です(参照*10)。

また、モールなどのチャネルによっては購入者情報の取り扱いを制限される場合があり、獲得した顧客に自由に再アプローチできないことがあります。そのため、ECのモールでは「新規接点の獲得」、自社ECは「関係構築とリピート育成」のように役割を分け、チャネルごとにKPIを揃えて比較できる状態にしておくと、露出分散が運用負荷の増大となり、逆効果になることを防げます(参照*11)。

CVRと購入体験を改善して取りこぼしを減らす

・商品ページで不安を潰し決め手を作る

集客が増えても、商品ページで迷われると売上は伸びません。商品ページで解消すべき顧客の不安は、サイズや対応機種などの条件、届くまでの日数、返品や保証、支払い方法、実物の見え方です。特徴を並べるだけでなく、顧客の悩みを商品が解決する道のりを具体的に示すことが重要です。提示する情報の順番を変えるだけでも、売上は変わります(参照*8)。

また、検索から来た人は購入までの意思決定が速いことが多いので、冒頭で要点が見える作りが向いています。製品タイトルや見出しの付け方、製品説明の作成、FAQの設置などを行いましょう。FAQを商品ページに置くだけでも、問い合わせ削減とCVRの両方に効果的です(参照*12)。


・カゴ落ち対策とチェックアウト最適化

カゴに入ったのに買われない状態が続くと、集めた顧客を取りこぼすことになります。Baymard Instituteによると、過去13年間のデータから平均のカート放棄率は約70%であり、チェックアウト設計を改善するだけで平均的なECのコンバージョン率を約35%押し上げられる可能性があります(参照*13)。

改善においては、入力の手間と不安を減らすことが必要です。会員登録を強制しない、住所入力を簡単にする、送料や到着目安を早めに提示する、エラー表示を分かりやすくする、などといった施策が有効です(参照*13)。

また、多くのサイトで、購入までのフローが多すぎることも指摘されています。支払い方法やスマホの操作性も離脱要因になりうるため、カゴ落ち対策は「買う直前の面倒」を減らす作業として優先的に取り組むべきです(参照*13)。


・計測とABテストで改善を習慣化する

改善には、計測→調査と仮説の設定→実験→反復といった段階があり、商品閲覧、カート追加、購入、売上、平均注文額などの基本指標を追うことが必要です。流入元や端末などで分解して、ボトルネックとなっている箇所を特定します(参照*14)。

ABテストとは、ページの2案(A案とB案)をランダムに出し分け、CVRなどの指標を基に良い案を決める方法です。変更点を1つに絞り、十分な期間で検証し、結果と学びを記録して次の仮説に回すと、継続的な改善が可能になります(参照*15)。

LTVを上げて売上の土台を太くする

・CRMとメールでリピートを仕組み化する

売上を安定させるには、リピート率を上げる仕組みが欠かせません。使い方の丁寧な説明、よくある質問への回答、次に買うタイミングの目安を順番に送ると、満足と再購入が起きやすくなります。また、カートに入れたものの購入には至らなかった客に対しては、在庫や期限をあおるより、送料や返品などの不安を解消する情報を優先します。提示する情報を顧客に最適化するだけで、同じ配信でも反応が変わります(参照*16)。

個別最適化においては、SNSの表示ロジックに左右されにくいメールは、購読者リストを自社で保有できる点で効果的です。そのため、広告費を増やさずに既存顧客へ確実に届けたいときの軸になります。配信後は、開封やクリックだけでなく、購入につながったかまで見て、送る内容を少しずつ直すと精度が上がります(参照*16)。


・客単価を上げるセット・アップセル・クロスセル

客単価を上げると、同じ集客でも売上が増えます。客単価を上げる方法としては、セット、アップセル、クロスセルの3つです。セット販売は、よく一緒に使うものをまとめて選びやすくします。アップセルは、検討している商品の上位であるより高価なバージョンの提案をすることです。クロスセルは、関連商品を一緒に提案することです。これらを組み合わせて適切に実施すれば、客単価の向上につながると述べています(参照*17)。

提案は押し売りに見えないように、用途に合う理由を短く添えるのが基本です。また、提案の数を増やしすぎると意思決定の負荷が増え、離脱につながる可能性もあります。1ページで見せる候補を絞り、まずは「よく一緒に買われる」など理由が分かる形に寄せると、受け入れられやすくなります(参照*17)。


・ロイヤル顧客を増やす体験設計とコミュニティ

ロイヤル(常連)顧客は、商品を繰り返し購入し、また周りへのおすすめもしてくれる、顧客の維持・拡大に重要な存在です(参照*8)。

重要なことは、購入後の体験を整えることです。たとえば、購入者限定の使い方ガイド、手入れ方法、交換部品の案内、相談窓口や交流サイトなどがあると、安心して使い続けられます。交流サイトの投稿やレビューが増えると、信頼の向上にもつながります(参照*18)。

また、ロイヤル顧客は紹介も生みます。ロイヤル顧客からの紹介のような知人からのおすすめは、他の広告よりも信頼されやすいと報告されています。コミュニティでレビューや写真投稿が増えるほど、初回購入者の不安が減り、購入判断が早まります(参照*19)。

おわりに

ECの売上を伸ばすには、広告を増やす前に、売上を「集客・CVR・客単価・リピート」に分解して、詰まっている場所を特定することが出発点です。そしてEC特有の数字であるセッション数、カート追加数、チェックアウトまでの到達数、購入完了などを、数字や流れで確認してボトルネックを確かめます。

そのうえで、SEOや口コミなど広告以外の集客を育て、商品ページと購入手続きで取りこぼしを減らし、メールなどでリピートと客単価を積み上げると、売上が安定します。また、計測やABテストを活用して改善を習慣化することも大事です。購入後のガイドやコミュニティでロイヤル顧客とレビューを増やすことも目指しましょう。


・参照


〈監修・執筆者情報〉

執筆:マーケティングWeek編集部

経歴:マーケティングWeekの記事編集部です。マーケティング領域に関する展示会を主催し、300近い出展社と数万人の来場者をご支援しています。支援実績を活かしてマーケティングに関わる有益な情報を発信します。


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