ビジネス現場インサイトレポート
マーケティング市場動向

本レポートでは、展示会「第26回 マーケティングWeek 春 2026」の来場者や出展社の属性・関心テーマ、セミナー内容などをもとにマーケティングの市場動向を考察。AI活用やデータ活用への関心が高まる中、マーケティングにかかわる企業が「今知っておくべき市場の変化」や「マーケティングツールを導入するにあたっての論点」などを整理します。

●目次

1.展示会開催サマリー

販促グッズ・広告メディア・営業支援・SNS活用など、マーケティングに関するあらゆる製品やサービスが一堂に会した本イベント。集客や売上向上、業務効率化などさまざまな課題の解決策を求めて、多くの来場者が訪れました。

開催日時

2026年4月22日(水)~24日(金)

開催場所

東京ビッグサイト

出展社数

267社

セミナー概要

聴講者数6,967名 総セッション数36

来場者数

17,366名(3日間)

構成展示会

デジタルマーケティング、SNS・インフルエンサー活用、ECグロース、ブランド戦略・PR、CX・顧客育成、営業支援、マーケティング戦略立案、広告メディア枠、販促

2.マーケティングニーズ・課題の現在地

マーケティングの中でも、どのような分野や施策に興味が集まっているのか。来場者へのインタビューをもとに考察します。

■AI関心は高いが戸惑いも。ブランド力アップが大きな課題

出展社・来場者へのインタビューをもとに、現在の市場ニーズをみていきましょう。

AIの利活用については関連サービスの出展が多く、来場者の関心も高い一方で、サービスが多様化しているため、比較・選定の難しさを課題に挙げる声もありました。そのような中、自社への導入イメージや課題解決の具体例をその場で見聞きできる点に、展示会ならではの利点を感じた来場者もいました。

今回のインタビューで、最も多く挙がった課題は「ブランド力強化」です。物価高により消費者が支出に慎重になる中、価格や機能だけでは選ばれにくくなっています。また、AIなどで開発や生産の効率化が進むと、製品・サービスの機能差が縮まりやすくなる可能性もあります。そのため、信頼や想起、価値への納得感を生み出すブランド強化への関心が高まっているわけです。

さらに、目の前の課題として、SNS活用やリード獲得を挙げる来場者も多く見られました。背景には、ネット広告費の高騰やSNS動画広告の伸長による集客競争の激化があると考えられ、実効性のある解決策へのニーズは引き続き高いと推察されます。


■478名が参加!マーケター同士の交流もニーズあり

「MaSネットワーキング ~マーケター交流の場~」という交流会を、エンタープライズ企業・若手・一般マーケター向けの3種で実施し、計478名が参加しました。交流会を目的に来場した人も見られ、「普段はBtoBマーケティングを担当しており、外部のマーケターとつながる機会が少ないため、多くの参加者と交流できたことは非常に貴重な経験でした」との声が挙がっています。

マーケティング領域は、AI活用やデータ分析、SNSなど、領域も急速に広がり、担当者に求められる知識や判断も高度化しています。一方で、社内だけでは最新事例や導入後の課題、失敗から得られる実践知に触れにくいのが実情です。

今後は、マーケター同士が交流し、他社の取り組みや課題感を共有することで、自社の施策を客観視し、改善のヒントを得る機会がより重要になるでしょう。情報収集だけでなく、協業先や相談相手との出会いを生む場としても、交流の価値は高まっていくと考えられます。


■来場者の声

来場者の声(1) 業種:製薬

「すでに導入しているツールのAI機能について、オンラインでは得られない情報を得るために来場しました。テスト的な取り組みの情報も聞けて満足しています。一方、AIを自分たちの業務にどう活かすかはまだ具体化できていません。人の作業をAIでどこまで代替・自動化できるのか、詳しい機能や活用法を学ぶ必要性も感じています」


来場者の声(2) 業種:教育

「当社は、50年以上続く歴史ある会社なのですが、古いものが捨てきれない状況です。新しいものを取り入れるために、ゼロベースでアイデアを探しに来ました。AIはトレンドで導入自体はしているものの、社員の知識や経験がバラバラな状況です。現場でのフォローアップや底上げからしないといけないと感じています」


来場者の声(3) 業種:食品メーカー

「特定の企業への依存を避けるため、店舗什器などで、相見積が取れそうな新しいパートナーを探しています。販促物のバリエーションが多いブースも確認しています」

3.セミナーからみるトレンド傾向

メーカー・コンサル・広告代理店・ツールベンダーなど、さまざまな立場の企業がマーケティングの現状や取り組みをセミナーで紹介していました。全体として、AIの利活用はもちろんのこと、AI時代においてどのように意思決定し、価値創造に結び付けていくかというAI時代のマーケティング変革についての論点が目立ちました。


■申し込みが多かったテーマはブランドづくり

申込数が多かったのは、日経BP社の「2026年の最新ヒット商品&予測」といったトレンド解説のもの。ほか、赤城乳業×有楽製菓×インサイトフォースの対談「なぜ、まだ生き残って売れるのか ~ガリガリ君とブラックサンダーの中の人が全部話します~」や、日清製粉ウェルナによる「選ばれ続ける理由を、自ら創る。生活者と共に歩むブランド再起動」といったブランドづくりに関するテーマが人気でした。

商品・サービスのコモディティ化や物価高が進む中で、価格や機能だけでなく、生活者に選ばれ続ける理由をどうつくるかが重要テーマになっているといえます。

次に人気のあった、花王やサニーサイドアップ・電通PR・アクセンチュア・BCGなどによるセミナーでは、データ活用やAI時代のマーケティング戦略、組織設計に関するテーマが取り扱われました。


■【注目セミナー】花王が重要視する「MMM」活用と組織を動かす熱意

申込数が多かった中から、マーケティングのノウハウを定性的・定量的に紹介していた花王のセミナー「花王に学ぶ、ロジックと熱量で勝つマーケティングとは データ活用と意思決定の要点 ~MMM活用と組織を動かす熱意~」を要約して紹介します。デジタル戦略部門 DXソリューションズセンター長 佐藤満紀氏による講演で、BtoC/BtoBいずれも参考になる内容です。

表題にもある「MMM」(マーケティング・ミックス・モデリング)とは、テレビCM・店頭販促・Web広告・SNSなどのさまざまなマーケティング施策が、売上などの成果にどの程度貢献したかを統計学的に分析する手法のことです。

花王は、他社が本格的に動き出した2010年ごろよりも前の2004年ごろから、データサイエンスに取り組んでいます。当初から佐藤氏はデータ分析をする仕事に就き、広告宣伝費・拡売費・販促費が効果的に使えているかを当時は紙でまとめていたといいます。

そこから数式を立て、売上を推定し、花王ではダウンサイジングや価格設定などにも活用してきました。広告媒体が進化し、効果が実測値で追えるようになった今、ビジネスを理解して解くべき課題を明確にすることや分析に適したデータを揃えることの重要性を佐藤氏は語ります。

その半面、以前からいわれている「KKD(勘・経験・努力)」のような人間らしい部分は、AI時代の意思決定においても、変わらず重要であると強調されました。もちろん、時代の変遷とともに捉え方などが変化している部分もあるため、花王ではメンバー間での意思疎通を図っているといいます。

4.アポ80件獲得の声も!商談現場動向

来場者の方々と触れ合った出展社の声から、リード獲得や商談化の状況も考察します。


■出展状況にみるマーケティングの市場感

出展製品カテゴリとして、AI関連サービスが多かった点は想像どおりかもしれません。加えて、以下に挙げたカテゴリの出展が例年と比べて多く、ユーザーの嗜好が多様化する中、データなどを活用し、1to1のマーケティング施策を推進するソリューションが増えている印象です。

  • マーケティングリサーチ・市場調査    
  • 特定のターゲットに特化した媒体やメディア(子育て世代向け、高齢者など)
  • スタートアップ企業(主催企画「スタートアップゲート」の実施に伴うもの)

■「質と満足度」の調査で約半数がポジティブな回答

出展社71社に協力いただいたアンケートの結果も紹介します。「質と満足度」についての記述式の調査で肯定的なコメントをした企業が約半数の35社ありました。「リード数がしっかり取れている」「来場者の質が高い」と、展示会マーケティングにおける基本の部分で満足しているとの声が多数を占めています。

中には「セグメントがきちんとされている分、話がわかる人が多い」「次のアポまで話が早い」「40~50%がターゲット層」など、担当者や決裁者とリアルで会うメリットを感じた方や、「割と大企業が多い」「大手企業と出会えており、満足」と大企業との接点を得て満足したとの声も挙がりました。定量的な成果としては、「アポイント数80件、リード数は1日目420件・2日目395件」「1日10件ほど商談できている」といった回答も寄せられました。


■出展社の声

出展社の声(1) 業種:分析・集客支援サービス

「今日うかがっている悩みとしては集客に関するものが多いです。ただ、ほとんどの方は明確な目的を持っておらず、情報収集として来場されています。そのため、こちらから積極的に声をかけ、そこから潜在的なニーズを喚起して商談へ誘導していくようなアプローチをしています」


出展社の声(2) 業種:海外アウトソーシングサービス

「弊社の世界観が体感できるようなブースをつくり込みました。オフィスも、同じようなデザインです。サービスの中身をただ伝えるのではなく、会社の世界観や大切にしていることを伝えて共感してもらう接点づくりを重視しているからです。『面白いね』と、笑顔になって来場者自らブースに入ってくださいます。単なるリード獲得やサービス紹介よりも、『この会社と一緒に仕事ができたら楽しいな』と思っていただくことが展示会のゴールだと捉えているからでしょうか」


出展社の声(3) 業種:マーケティング戦略支援

「当社のAIプロンプトをどうビジネスに落とし込むかをその場で見せながら実演したのが、非常に好評でした。『AI』という言葉を掲げ、その活用法を『そのまま真似できる』レベルまで細かく説明したおかげです。リアルな場で深い商談と導入の姿を見せる設計が重要だと感じています。今日は、全国のトップ営業を集めました。それぐらいしないと、チャンスは活かせないと考えています」

5.まとめ

本記事でまとめてきたように、マーケティングWeek 春 2026では、「AI時代」のコンセプトでさまざまな情報の提供や交換が行われる中で、リアルな場ならではの本質的な交流や商談が生まれていました。

RX Japanでは季節ごとにマーケティングを軸にした展示会を開催しています。興味を持った方は、下記からぜひ近日開催予定の展示会を確認してみてください。

〈監修・執筆者情報〉

執筆:マーケティングWeek編集部

経歴:マーケティングWeekの記事編集部です。マーケティング領域に関する展示会を主催し、300近い出展社と数万人の来場者をご支援しています。支援実績を活かしてマーケティングに関わる有益な情報を発信します。


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