SNS広告とは?媒体別のユーザー層や最新の動向について解説

SNS広告は、精度の高いターゲティングを活かして、あらゆる業種のマーケティングに活用されています。しかし、効果的な運用には各プラットフォームの特性理解や法令遵守、クリエイティブの最適化が欠かせません。本記事では、SNS広告の基本から媒体別の特徴、最新トレンド、出稿時の注意点までを分かりやすく解説しています。

●目次

SNS広告とは

SNS広告とは、X(旧Twitter)、Instagram、LINEなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上に配信される広告を指します。情報発信や交流の場として利用されるSNSは広告が自然に溶け込みやすい特徴があります。近年ではSNSの利用時間が伸びており、企業にとってSNS広告の活用はますます重要になっています。


SNS広告とWEB広告の違い

SNS広告は、閲覧履歴や属性情報、興味関心といったデータに基づいて配信されます。これにより、精度の高いターゲティングが可能となり、広告効果を高められます。
また、SNS広告は自ら情報を探していないユーザーの目にも触れやすいため、潜在層へのアプローチやブランド認知の拡大に適した手段として注目されています。

SNS広告ならではのメリット

SNS広告は、広告の無駄打ちを抑える精度の高いターゲティングや、潜在ニーズを持つユーザーへのリーチも可能で、ブランドとの新たな接点を自然と生み出せます。

さらに、ユーザーの反応によって発生する拡散効果や、少額から始められる柔軟な運用設計により、高い費用対効果が期待できます。SNS広告は新規顧客との接点づくりから成果の最大化までを一貫して支える手段になります。


精密なターゲティングで、狙った層に広告を届けられる

SNS広告は、年齢・性別・地域・興味関心など、ユーザーの詳細なデータに基づき、広告を届けたい相手をピンポイントで狙えます。BtoBでは業界・業種、BtoCでは趣味といった要素でセグメントの絞り込みが可能で、商品やサービスに関心を持ちやすい層に広告を届けられます。

さらに多くのSNSでは、広告配信に既存顧客データを活用するための機能や、新規ユーザーへ配信するための機能も活用できるため、費用対効果の高い施策が可能になります。


潜在層にリーチし新規のファンを獲得できる

SNS広告は、まだ自社の商品やサービスを知らない層や、自身の具体的なニーズを自覚していない層へもアプローチできます。

すぐに購入や申し込みに至らなくても、興味関心に基づく継続的な広告表示を通じて、新規ファンへと育成することが可能です。SNS広告は、ブランドとの最初の出会いを創出し、関係構築の起点となる重要な役割を果たします。


ユーザーの二次拡散による認知拡大が見込める

SNS広告は、「いいね」やコメント、シェアといった自発的な行動を通じて、ユーザーによる拡散が自然と発生しやすい構造を持っています。二次拡散により、広告費をかけずに多くの人に情報が広がる可能性があります。

また、「いいね」やコメント、シェアなどの収集は口コミやレビューと同様に広告の信頼性が高まりやすく、ブランディング施策としても有効です。


低予算からでも始められ、高い費用対効果が期待できる

SNS広告は、日額数百円から出稿可能で、限られた予算でも始めやすい広告手法です。WEB広告と比較して初期費用のハードルが低く、柔軟な予算設定ができる点も魅力です。
さらに、少額からでもA/Bテストや効果測定を行いながら運用改善ができるため、継続的に費用対効果の向上を目指せます。

主要なSNS広告の種類と特徴

SNS広告は、各プラットフォームごとにユーザー層や利用目的が異なるため、それぞれの特性を理解した使い分けが重要です。InstagramやTikTokのようにビジュアルのわかりやすさが求められるものから、FacebookやLINEのように幅広い年代にリーチできるものまで、適した手法もさまざまです。

出典:総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>」

Instagram広告:ビジュアル訴求が強く、女性ユーザーにアプローチができる

Instagram広告は、写真や動画といったビジュアル訴求に優れており、ブランドの世界観や商品価値を直感的に伝える手段として有効です。特に若年層や女性の利用率が高く、ファッション、美容、グルメ系などの商材との親和性が高いです。

ストーリーズ広告やリール広告、ショッピング機能(商品タグ付け)の活用により、購買行動を後押しできるでしょう。


Facebook広告:実名登録制のため、精度の高いターゲティングができる

Facebook広告は、実名登録に基づく信頼性の高いユーザーデータを活用できるため、精度の高いターゲティングが行えます。年齢・性別・職業・興味関心など詳細な属性で絞り込めるため、リード獲得やイベント集客などに適しています。

また、30代以上のユーザー層が中心であり、家庭を持つ層や管理職、経営層へのリーチにも向いています。

Facebook広告とInstagram広告とMeta広告について

  • Facebook広告とInstagram広告は、「Meta広告」のプレイスメント(配信面)としての2つ
  • Meta広告は、両媒体から得られるユーザー行動や属性などのシグナルを統合的に管理・活用
  • Meta広告は、統合データをもとに広告配信の最適化が行われ、配信アルゴリズムに反映
  • この仕組みにより、以下のような業種での成果創出に貢献
  • CPG(例:P&G、花王など)、化粧品、金融・保険、人材、BtoB領域全般

X(旧Twitter)広告:拡散力が高く、速報性のある情報発信ができる

X(旧Twitter)広告は、リアルタイム性とユーザーによる情報拡散力に優れており、話題の拡散に適しています。政治・経済・エンタメなど時事性の高い内容や、イベントの告知、限定キャンペーンなどとの相性が良いです。

若年層から中堅層まで幅広いユーザーにリーチでき、ユーザー同士のリアルタイムなコミュニケーションを促すような短文形式での投稿が効果的です。


LINE広告:全年代で利用率が高く、幅広い年代にアプローチができる

LINE広告は、LINEアプリの月間ユーザー数が多く、日常的に利用されているため、10代からシニア層まで幅広い年代にリーチできます。LINE NEWSや、トークリストなど多様な配信面に加え、LINE公式アカウントとの連携により、広告から友だち追加を促し、メッセージ配信やクーポン配布などのCRM施策へスムーズにつなげられます。また、地域ターゲティングの精度も高く、エリアを絞った訴求にも適しています。


TikTok広告:10~20代の利用率が高く、若年層にアプローチができる

TikTok広告は、ショート動画形式で音源を活用したエンタメ性の高いコンテンツで10〜20代の若年層にリーチできます。ユーザー参加型のハッシュタグチャレンジ広告など、インタラクティブなキャンペーンも展開しやすく、高いエンゲージメントと話題性を生み出せます。インフルエンサーとの連携による広告展開も有効です。


YouTube広告:動画共有サービスの中での利用率が高く、幅広い年代にアプローチできる

世界最大級の動画プラットフォーム上で展開されるYouTube広告は、ジャンルを問わず幅広い年代にリーチできます。

15秒以内のスキップ不可広告やバンパー広告など、配信形式も多様で、認知獲得から購買促進まであらゆる目的で活用できます。商品説明やストーリー性のある訴求を行いたい場合に効果的です。

SNS広告における最新動向

SNS広告のあり方は、ユーザーの行動やプラットフォーム機能の進化にあわせて変化しています。視覚的な訴求力や即時性のある体験が重視され、動画やライブ配信といった表現手法の活用が進んでいます。

また、広告から購買までをシームレスにつなげる仕組みや、信頼性を重視した影響力のあるインフルエンサーの起用、さらにはAIによる広告制作の効率化なども普及しつつあります。SNS広告で成果を出すためには、こうした変化への柔軟な対応が求められます。


動画広告の需要が高まっている

スマートフォンでの動画視聴時間が増加する中、SNS広告においても動画の重要性が一層高まっています。ユーザーの視線を引きつけやすく、短時間で多くの情報を伝えられる動画は、静止画よりも高いエンゲージメントを生み出す傾向にあります。

YouTubeのインストリーム広告やInstagramのリール広告など、各プラットフォームも動画広告の機能を強化しており、広告主側の関心も高まっています。


ソーシャルコマースとの連携が加速している

SNS広告とEC機能の連携、いわゆるソーシャルコマースが拡大しています。Instagramのショッピング機能や、TikTokの「TikTok Shop」が代表的な例です。

なかでもTikTok Shopは、ブランドやクリエイターがライブ配信や動画投稿を通じて商品を販売できる仕組みとして注目を集めています。アパレルブランドが配信中に着用アイテムを紹介し、視聴者がその場で購入するといった活用事例なども増えています。

視聴から購入までを一つの体験として完結できる点が、ユーザーにとって高い利便性をもたらしています。また、ブランド側も広告と販売の一体化によってCVを高めやすくなっており、SNS広告のROI(投資利益率)向上にも寄与しています。


マイクロ・ナノインフルエンサーへの注目が集まっている

現在、フォロワー1万人未満のナノインフルエンサーや、1万人〜10万人規模のマイクロインフルエンサーへの関心が高まっています。彼らはフォロワーとの距離が近く、いいねやコメントなどのやり取りが活発な傾向にあります。

そのため、フォロワーは親近感や信頼感を抱きやすく、エンゲージメント率が向上しやすいです。こうした理由から、費用対効果の向上を期待して、マイクロ・ナノインフルエンサーの採用を検討する企業が増えています。


ライブ配信広告の活用が広まっている

Instagram LiveやTikTok Live、YouTube Liveなどのライブ配信機能を活用した広告が注目されています。リアルタイムで視聴者とやり取りできるため、視聴者の反応を見ながら訴求内容を調整できる点が特徴です。

まるで店頭で実物を見ているような感覚を提供でき、視聴者の理解や関心を高めやすくなります。こうした体験は記憶に残りやすく、ブランドへの好印象を与える効果が期待されます。


AIを活用したクリエイティブ制作が進んでいる

AI技術の進化により、広告コピーやバナーデザインなどのクリエイティブ制作を自動化できる仕組みが広がりつつあります。これにより、制作時間の短縮やコスト削減が可能となり、従来よりも効率的な広告運用が期待されています。

また、A/Bテストのパターン作成や最適化にもAIが活用され始めており、スピーディーかつ柔軟なクリエイティブ改善が実現しやすくなっています。

SNS広告の出稿における注意点

SNS広告で成果を出すためには、運用上のリスクを回避する視点も必要になります。表現が法令に違反していないか、不適切な内容で炎上を招かないか、クリエイティブが媒体仕様に沿って最適化されているかなど、広告の適切な運用とブランド価値の維持に向けた細やかな配慮が求められます。


法令(景表法・薬機法など)を遵守する

SNS広告を出稿する際には、景品表示法(景表法)や医薬品医療機器等法(薬機法)などの広告表示に関する法令を遵守しなければなりません。

特に効果効能に関する表現や、比較広告・優良誤認表示などに関しては、知らずに違反してしまうケースも少なくありません。たとえば、健康食品の広告で「絶対に痩せる」といった断定的な表現は、薬機法違反に該当する可能性があります。

違反は企業の信用失墜や罰則につながるため、事前にリーガルチェック体制を整えましょう。


炎上リスクを避けるために差別や偏見を助長する内容は控える

SNSは情報の拡散が速いため、不適切な表現も瞬く間に広がり「炎上」を招くリスクがあります。とりわけ、人種、性別、宗教などに関する差別的・偏見的な内容や、不謹慎だと捉えられる表現は、ブランドイメージの棄損につながる可能性があるため、避けなければなりません。

そのためには、さまざまな視点で投稿内容のチェックができるような社内体制の構築や、あらかじめ広告表現に関するガイドラインの策定が有効です。また、万が一炎上が発生した場合には、迅速かつ誠実な対応が求められます。


各SNSに合わせて画像サイズや文字数を調整する

各SNSプラットフォームには、推奨される画像のアスペクト比、動画の長さ、テキストの文字数制限などの仕様があり、出稿前に最適化する必要があります。

このようなクリエイティブの最適化を怠ると、広告が見切れてしまったり、想定した訴求力を発揮できなかったりする原因になります。そのため、配信先のガイドラインを事前に確認し、画像のサイズ変更やテキスト量の調整、必要に応じたフォーマットの作り分けを行うなど、計画的な対応が不可欠です。

まとめ

SNS広告は、多様なプラットフォーム特性と進化し続けるトレンドに対応しながら運用することで、高いマーケティング効果を発揮します。

運用に際しては、基礎知識に加え、InstagramやX(旧Twitter)、YouTubeなど主要プラットフォームごとの特徴や活用シーン、動画広告やAIによるクリエイティブ制作といった最新トレンド、炎上リスクや景表法・薬機法への対応、媒体仕様に合わせたクリエイティブ設計といった実務上の注意点まで幅広く網羅しておきましょう。

今後もSNS広告は、ユーザーとの接点としてますます重要性が増していくと考えられます。展示会への参加、公式SNSの確認をしながら、最新の情報や運用ノウハウを継続的にキャッチアップしていく姿勢が求められます。


〈監修・執筆者情報〉

執筆:

鈴木 良太(Hakuhodo DY ONE)
メディアビジネス本部プラットフォームビジネス企画局第4推進部部長

経歴:

ネット専業広告代理店でクリエイティブプランナーを経験後アイレップ(現 Hakuhodo DY ONE)に入社。入社後はメディアプランナーとして従事し、メディアを横断したフルファネルの企画立案や調査設計を行ってきた。メディアの特性に合わせた細やかなユーザーコミュニケーション設計を得意とする。


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